[統合失調症]疾患の詳細column

Update:2023.10.15

[統合失調症]疾患の詳細とは

統合失調症は、幻覚・妄想・無感情などの症状があり、認知・社会機能に影響を及ぼす精神障害です。通常青年期から成人にかけて発症し、遺伝的・生物学的な要因が関与すると考えられています。ドーパミン神経系の異常が関係し、脳構造の変化も見られます。診断は症状の詳細な観察と排他的な検査で行われています。

[統合失調症]疾患の詳細

目次

統合失調症の歴史的経緯

 疾患の詳細を述べる前に、現在の統合失調症という病名になるまでの、およその歴史的経緯を見ておきます。精神病に対する昔の人々は、多くは普通の人とは様子が違って見えたため、恐れや奇異な感じを抱いており、また捕らえられたり隔離されたりした人もいました。19世紀末、ドイツの精神医学者であるエミール・クレペリンが、精神病をその症状と経過から分類しようとしました。そして、妄想などを特徴とする病気は、長期間において自発性が低下し、対人関係が維持できなくなって、社会適応が困難になる傾向が見られることから、これを「早発性痴呆」と呼びました。この名称を初めて提唱したのは、フランスのモレルでした。

その後、20世紀に入って、スイスのオイゲン・ブロイラーが、いろいろな精神機能の分裂がもっとも重要な特性であると考え、いくつかの分裂した病気からなる症候群としてSchizophrenie(精神分裂病)という病名を提唱しました。そして、この病気はその経過中に必ずみられる基本症状として、次の4点を挙げています。①自閉症状(現実から空想へ引きこもる)、②感情鈍麻の症状(感情が鈍くなる)、③連合障害の症状(考えにまとまりがなくなる)、④両価性の症状(同じ対象に対して、まったく反対の感情を同時に抱く)を基本の症状とし、幻覚・妄想・緊張興奮状態などの症状は、みられないこともあることから、副症状としました。

そしてその後、ドイツのクルト・シュナイダー(精神医学者)は、診断上重要な症状を一級症状としました。一級症状として挙げたのは、①考想化声(自分の考えが他人の声で聞こえる)、②批判性幻声(自分を批判する声が聞こえる)、③対話性幻声(自分の悪口をいい合っている)、④考想伝播(自分の考えが周囲に知られている)、⑤考想奪取(自分の考えが抜き取られている)、⑥思考干渉(自分の考えが干渉される)、⑦妄想知覚(2本の交差する箸を見て、十字架にかけられると確信する)などです。それ以外の症状を二級症状としました。診断では、患者さんに一級症状が確実にみられ、器質的な原因がない場合を重視しています。このシュナイダーの提唱した一級症状は、現在の統合失調症の診断基準であるアメリカ精神医学会の『精神疾患の診断・統計マニュアル』(DSM)や、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD)の診断基準にも重視されています。

このように、統合失調症は「早発性痴呆」から「精神分裂病」へと変わり、日本でもつい最近まで「精神分裂病」と呼ばれていました。しかし、精神が分裂する病気という語感が、患者さんの人格を否定する印象があることから、偏見と差別を助長するとして、日本精神神経学会は2002年に「統合失調症」という病名に変更したのです。「精神分裂病」はSchizophrenie(スキゾフレニア)を直訳した言葉で、精神が分裂するという意味ではありません。もともとは、思考の内容にまとまりがなくなり、物事を関連づけて考える働きが障害された状態をさしています。したがって、統合失調症という病名は、病気の概念を変えずに、より病気の実態に近い病名になったことになります。この病名の変更は、この病気に対するイメージを大きく変え、人々に受け入れられるようになったのです。臨床現場においても、これまで避けられることが多かった病名の告知が、普通の病気と同じように告知できるようになり、患者さんや家族においても、回復可能な病気として受け入れられ、病気を正しく理解し、自主的に治療に取り組もうという姿勢に変わってきたことは大きな進歩といえます。

統合失調症は決して少なくない病気

 統合失調症と聞くと、まれにある病気というイメージがありますが、決してめずらしい病気ではありません。疫学的統計頻度のところでも述べましたが、有病率は人口100人に対して約1人の割合です。正確には、0.7%~0.9%が統合失調症になる確率です。この発症率は、都市部にやや多いという報告もありますが、どの国や地域、人種、またどの時代でもほぼ一定していることがわかっています。これは、日本においても同じことが言えます。

2005年の厚生労働省の患者調査では、日本のがん患者数は約140万人、これに対して統合失調症の患者数は約76万人で、胃潰瘍および十二指腸潰瘍の患者数の約63万人を上回っています。がん患者の約半数が統合失調症の患者数であることを考えると、決してめずらしい病気どころか、とても多い病気の一つであることがわかると思います。例えば、学校でも一学年に生徒が100人いれば、1人ぐらいは統合失調症になる人がいますし、会社でも1000人規模の職場であれば、10人程度は統合失調症の人がいるものです。中には思い当たらない場合があるかと思いますが、治療を受けていれば病気に見えないこともよくあります。また、病気までいかなくても、ちょっと変わった人程度の場合もありますが、どこでどのような調査をしても、だいたい1%の確率で患者さんはいるものです。発症しやすい年齢は、20歳前後がピークです。もちろん、その他の年齢で発症することはありますが、60歳以上や10歳以下に発症することはほとんどありません。

 統合失調症の発病率(人口1000人当たり1年間に発病する比率)

    〈国名〉     〈発病率〉   (男/女)
  • ・デンマーク      0.07   (0.09/0.07)
  • ・インド(郡部)    0.11   (0.13/0.09)
  • ・インド(都市部)   0.09   (0.08/0.11)
  • ・アイルランド     0.09   (0.10/0.08)
  • ・アメリカ       0.09   (0.10/0.08)
  • ・ロシア        0.12   (0.10/0.14)
  • ・日本         0.10   (0.11/0.09)
  • ・イギリス       0.14   (0.17/0.12)

       出典:1992年 WHO/DOSMeD研究による

統合失調症の3つのステージ

 統合失調症は、時間の経過とともに症状が変化していくのが特徴的です。病気は大きく分けると、「急性期」「消耗期」「回復期」の3つステージを経ていきます。急性期は、精神的な興奮が激しく、幻聴・幻覚・妄想などの症状が現れる時期です。患者さんを周囲で見ていると、その症状の特殊さや現れ方に驚くほどです。けれども、それは最初のうちだけでやがて精神的に落ち込み、身体的な活動性もグッと少なくなくなる消耗期に入ります。消耗期は、急性期にエネルギーを使い切った結果、症状は収まったものの、元気が出ない状態になります。その後、長い時間をかけて、精神的にも肉体的にも、徐々にエネルギーが戻ってきて回復期へと移行します。回復期は、ゆっくり体を休める充電期間です。エネルギーが戻ってくると、少しずつ活動の範囲が広がり、その内容も増えてきます。

エネルギーとは、精神的、身体的な発散量のことで、このエネルギーが高いと精神的に興奮してきて、落ち着きなく動き回るなどの状態になります。逆にエネルギーが低くなると、感情の起伏がなくなり、ぼんやりしていたり、寝てばかりいるような状態になります。このように、統合失調症は病気の状態が少しずつ変わっていくのが特徴で、最初は激しい興奮状態ですが、それは最初のうちだけで、やがて変化のスピードがゆっくりとなり、少しずつ改善に向かうようになります。

前駆症状の特徴

 発病する前は、それが病気なのか、そうでないのか、よくわからない曖昧な時期がありますが、これを前駆期といいます。統合失調症の前駆期の特徴は、一見すると「ひきこもり」や「うつ」のように見えることが多いです。この症状はある一定の割合で、統合失調症の前駆期に含まれているので、特に発症しやすい20歳前後の人に「ひきこもり」や「うつ」が見られた場合は、注意する必要があります。統合失調症になれば、幻聴や妄想の症状がはっきり現れますが、前駆期でははっきりしません。しかし、よく観察すれば、統合失調症の兆しが見られます。たとえば、人を怖がったり避けたりするようになります。また物音に敏感になりますし、学校や職場や地域でいじめられている、疎外されていると訴えたりします。不眠も見られます。幻聴についても、必ずしも「声が聞こえる」と本人が言わなくても、何かに聞き入っている様子や、独り言を言っている様子が見られる場合には、幻聴の兆しとも考えられます。

また、統合失調症のはじまりは、脳内の変調のはじまりでもあります。脳内で変化が起こると、表情がそれまでと違ってきて、硬い表情になったりします。本人は、自分の心の中に起きている変化に戸惑っているためか、不安や緊張感を現わし、これから何か起こりそうな緊迫感を漂わせていますので、こうした変化を家族や周囲の人は感じとることができます。しかし、こうした状態を統合失調症とは気付かずに、放置してしまうと、病気は進行して急性期へ移行してしまいます。前駆期から急性期への移行は、何日も何カ月もかかって徐々に進むこともあれば、ある日突然激しい症状が出ることもあります。興奮状態になったり、自分や他人に攻撃が向くこともあります。

①「急性期」の症状と対応
2種類の症状
 急性期には、妄想や幻覚などいろいろな症状が現れます。急性期に現れる症状を分けると主に2通りあって、一つは神経の興奮から起こる「陽性症状」と、もう一つはエネルギーが低下して起こる「陰性症状」です。統合失調症にはいくつかのタイプがありますが、急性期に陽性症状を起こすタイプのほうが多く見られます。陽性症状の主な症状は、妄想、幻覚や幻聴です。妄想は、危険にさらされていると思い込み、強い不安や敵意を抱きます。「自分はやくざなどに狙われている」「スパイにつけ狙われている」「自分の行動はすべて監視されている」など、あり得ないことを思い込みます。幻覚や幻聴は、あるはずのない声が聞こえ、命令されたり監視されたりします。「死んでしまえ」など自分を脅す内容の声が聞こえ、実際に痛みなどを感じる場合もあります。このほか、誰かに操られているような感覚を抱いたり、集中力が続かず、ものの見方や考え方に一貫性がなくなったりします。このように陽性症状は、神経が興奮して過敏になるために起こる症状です。イライラして怒りっぽくなるなど、身体的、精神的に活発になるため、周囲に気づかれやすいのも特徴です。

一方、陰性症状は意欲の低下や無気力、感情の起伏がなくなり、自分の殻に閉じこもってひきこもり、うつ状態になります。精神的にも身体的にも、エネルギーが下がるような症状の現れ方をします。たとえ妄想があっても、それを表現しないため、周りにはわかりにくい状態です。

言動を否定しない
 幻聴や妄想の内容は、周囲の人にとっては非現実的ですが、患者さん本人にとっては現実の問題です。自分で否定し、打ち消そうとしても出来ないのです。起こっている事実に追い詰められ、強い緊張や不安をかかえているのに、周囲の人にはわかってもらえない、受け入れてくれない、と孤独に陥ってしまいます。たとえば、患者さんが「家の前に停まっている黒い車は、私を監視するために停まっている」と言えば、家族の者は「そんなわけないでしょう。なんでそんな風に考えるの!」「バカなこと言わないで!」と、つい言ってしまいます。そう言えば言うほど、自分の行動は全部監視されている、と患者さんは主張し続けます。そんなことは誤りだと、いくら論理立てて説明し、説得したとしても、患者さんは自分なりに筋道をたてて納得しているので、受け入れようとしません。

この患者さんの思い込みや妄想の背景には、強い不安感があります。こんな時、最も大切なことは、頭ごなしに否定したり、説得しないことです。まずは、患者さんの言い分をそのまま受け止め、共感してあげることです。「そう、それは不安でしょう。でも、ここにいれば絶対に大丈夫」「私たちはあなたの味方。守ってあげるから、ゆっくり休んで」と声をかけてあげれば、患者さんは何よりの助けとなるのです。また、話を聞く際には、「そうなの? どんなことがあるの?」といったように、妄想を具体的に説明させるような質問は、控えたほうがよいでしょう。説明させることで、かえって不安を煽ることにもなります。

確かに家族や周囲の人からすれば、発症直後の本人の言動は、あまりにも突飛なので、すぐには受け入れ難いものがあります。また、統合失調症という病気に対する知識もないので、戸惑うのも当然です。何よりも、この病気は身体的な不調として現れないため、その症状が病気とは思えないところが、統合失調症の特徴であり、難しさでもあります。

統合失調症の病型

 統合失調症の病気の現れ方は、人によってさまざまです。10人の患者さんがいれば、10人ともそれぞれ病気の現れ方が違うのが特徴的です。これが、同じ精神疾患である「うつ病」の場合は、10人いれば10人ともほぼ同じ症状・経過・転帰(病気が経過してほかの状態になること)をたどりますので、この違いからみても、統合失調症の診断や治療の難しさがここにあります。また、1人の患者さんに、すべての症状が現れるわけではありません。

統合失調症はこのところ軽症化してきており、急速に荒廃状態になるケースは少なく、軽症のまま推移したり、神経症と見分けがつかないようなケースもあります。そのため、病型(症状や経過、予後の特徴に基づいて分類したタイプ)についても、明確に分類することは難しいですが、これまでの伝統的な精神医学の中で分類された病型としては、「妄想型」「破瓜型」「緊張型」の3つが代表的なタイプです。このほかに「分類不能型」「統合失調症後抑うつ」「残遺型」「単純型」といったタイプもあります。病型によって、発病の時期や症状、予後が異なりますので、3つのタイプを中心に概略の説明をしておきます。

【妄想型】 

 妄想型は、幻覚(幻聴)や妄想を伴うことが多い陽性症状が中心の病気で、現在では世界の統合失調症の中で最も多い病型です。感情鈍麻や思考貧困はほとんど見られず、あっても軽度のものです。そのため、患者さんの中には、妄想以外は一見問題なさそうな人も見られます。発症時期は、他の病型より遅く18歳くらいで、中には30歳代の発症もみられます。妄想や幻覚には、抗精神病薬がほかの症状より効きやすいので、治療の面では進めやすいタイプです。

ただし、患者さんによっては、少量の薬物で症状が改善する人もいれば、治療しても長期間にわたって症状が継続する場合もあります。また、感情が不安定で怒りっぽい人や、思考障害のためにひとつの判断に固執する人など、生活行動に問題があるケースもまれではありません。長期的にみると、予後はさまざまですが、高年齢で発病した人ほど治療成績はよく、特に中年女性の場合は予後がよいとされています。この妄想型は、欧米で最も高頻度に出現しており、日本でも増えている病型です。

【破瓜型】 

 破瓜とは女性の16歳の称のことで、この頃を破瓜期ともいい、初めての月経が起こる15~16歳の思春期のことです。ただ、統合失調症の破瓜型は、もう少し年齢幅が広く、15~25歳の青年期に発病する病型で、男女を問いません。統合失調症は、人生でも前半の早い時期に発病する病気ですが、その中で破瓜型が最も早く発症し、10代前半から始まる病気です。アメリカ精神医学では、この破瓜型を「解体型」と呼んでいます。日本では最も多い病型ですが、最近は頻度が減っているといわれ、これには診断概念の変化が影響している可能性があると言われています。 

破瓜型の症状は陰性症状を主体としており、思考の障害が中心です。妄想や幻覚も起こりますが、あまり顕著ではありません。目立つ症状といえば、性格が急に変わったように見えたり、身仕舞がだらしなくなったり、また奇妙な服装になったり、風呂に入りたがらないなど、生活行動に乱れが生じます。一般的には静かで表情に乏しく、時にはニコニコと笑い顔を見せる人もいますが、これは表情を消す空笑いです。

何をたずねても反応が少ないのが特徴ですが、感情が鈍っているのかと思うと、ささいなことに敏感すぎるほど反応を見せることもあります。普段は温和なのが、突然、激しい感情のほとばしりを見せることもあり、過敏と鈍感が一緒に存在している状態です。典型的な破瓜型の患者さんと接したとき、表面的な挨拶は交わせても、それ以上に互いの気持や感情を通じ合わせることは難しく、疎通性に乏しいと言えます。この人間的な接触の欠落こそ、統合失調症の特性でもあります。したがって、家に引きこもり、自閉的になりがちです。治療においては、興奮した時などは薬が有効ですが、一般に破瓜型は生活指導を早くから根気強く行う必要があります。3病型のなかでは、最も予後不良の病型です。

【緊張型】 

 破瓜型と並んで若年発症で、20歳前後で急激に発症します。妄想や幻覚はありますが、行動面の症状に隠れてわかりにくい面があります。妄想や幻覚の症状につづいて、また理由のわからない不眠などのあとに緊張病症状が現れます。緊張病症状というのは、興奮した状態と昏迷(意識はあるが無動・無言)した状態をいいます。緊張病症状には次のようなものがあります。

  • 興奮=叫び声をあげながら、壁にぶつかったり、戸を叩いたりします。時には暴力などがみられることもあります。
  • 昏迷=急に体を硬くして動かなくなったり、声をかけても返事をしない無言になったりします。意識は正常なのに、全く反応を示さない状態です。
  • 拒絶症=食事もとらず、風呂にも入ろうとしません。着替えをさせようとすると、強くて抵抗します。
  • 表情の変化=うつろな顔つきになって、急に眉をひそめたり、しかめっ面をしたり、また尖り顔をしたりします。
  • 硬直=全身を曲げたまま、あるいは伸ばしたままじっとしています。
  • 常同=体を前後にゆするなど、同じ動作を繰り返します。
  • 反響動作=目の前の相手と同じ動作をします。

 これらの症状がすべて起こるというわけではありません。主には、非常に興奮した状態(緊張病性興奮)か、または極端に動きがなくなる昏迷の状態のどちらかの症状が多いようです。また、興奮が昏迷に変わったり、昏迷が興奮に変わったりすることもあります。興奮や昏迷などの症状が現れている最中は、妄想や幻覚などはありませんが、普通はこの緊張型の前後に、妄想型や破瓜型の症状が認められます。また、感情的ストレスの後に、急に緊張病症状が発現する場合もありますので、注意が必要です。

緊張型は薬がよく効いて、症状は比較的すみやかに消失し、正常な状態に戻ることが多いです。時には、症状の悪化が繰り返され、周期性の経過をたどる場合もありますが、普通、症状が消えているときは、それほど重篤な障害は残らず、ほぼ完全に治ります。緊張型の予後は、比較的よいとされています。

【その他の病型】 

《分類不能型》
上記の3病型(妄想型、破瓜型、緊張型)のいずれにも属さない病型で、症状が重なっていたり、また十分に強く出ていなかったりした時に診断されます。当初は3病型のいずれかに診断されていても、時間の経過とともにこの分類不能型に診断されることが多くなっています。また、統合失調症の軽症化もこの病型を増やしている一因となっています。
《統合失調症後抑うつ》
急性期の症状が改善したあとも、うつ病症状が持続する病型です。急性期で、入院治療を受けた患者さんの4分の1に生じています。 
《残遺型》
診断基準に示されているような著明な症状はないが、何らかの陰性症状が長期間持続した場合です。長期経過後は、この型に分類されることが多いです。
《単純型》
陰性症状のみを呈する病型です。アメリカ精神医学会のDSM-Ⅳ-TRでは、この病型は、今後の研究のために提案された基準案に含まれているものです。非常にまれにしか出現しない病型で、実際、経過中に陽性症状がなかったことを証明することは困難といわれています。