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場面緘黙とは?

場面緘黙とは?

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場面緘黙

場面緘黙とは、家庭などの安心できる場所ではふつうに話すことができるにもかかわらず、学校や職場などの特定の場所や状況において話せなくなってしまう症状のことです。

緘黙の症状としては、生活全般にわたり流暢に話せない「全緘黙」と、上記に述べた特定の場所や状況でのみ緘黙の症状が出てしまう「選択的緘黙(場面緘黙)」の2種類があります。特に多くみられているのは、後者の場面緘黙です。

この場面緘黙は、発達障害者支援法の対象となっている発達障害の一つと定められています。

緘黙は子どもだけではなく、大人になってからも症状が続く場合が多く、日常生活や社会生活においてトラブルを引き起こす可能性もあります。

ここでは、場面緘黙の原因や診断基準、症状、治療法、サポートなどについて詳しく解説していきます。

1.場面緘黙とは

「緘黙(かんもく)」には、次のような意味があります。(国語辞書を参照)

  • 口を閉じて何も言わないこと、押し黙ること
  • 口を閉じて黙っていること

また、「緘黙症(かんもくしょう)」には次のような意味があります。

無言症とも。発語に関する器官に器質的な障害がないのに、発語しないもの。神経症、うつ病、統合失調症にしばしば見られるほか、突然の激しい感情の動揺でも起こる症状。外部からの刺激に対して精神的な反応がなくなり、意識は明晰(めいせき)だが、話しかけられても一語も発しない。また一日中同じ姿勢を保つといった異常行動を伴うことが多い。子どもで、特定の人とは話すのに、それ以外の人と話さない場合を、選択的緘黙という。

つまり、緘黙とは、生活全般にわたり全く話せない全緘黙と、家庭などの安心できる場所ではふつうに話すことができるにも関わらず、学校や職場など特定の場所や状況で話せなくなってしまう選択性緘黙(場面緘黙)のことを言います。とくに多くみられているのが、選択性緘黙(ここでは、場面緘黙とする)になります。

これらの緘黙は決して一時的なものではなく、長く症状が続くため、大人になってからの緘黙は社会生活に大きな影響を与えるでしょう。

周りの方が症状に気づくのは、幼稚園などに行き始めてからの5~6歳前後が多いと言われていますが、小学生や中学生になってから症状が現れる人もいます。この幼少期に適切な支援や治療を受けられずに大人になると、生きにくさを感じながら社会生活を送っているというケースも存在します。

周りの人が緘黙への理解が乏しいと、性格によるものだと誤解されることがあります。人見知りや極度の恥ずかしがり屋なのではと思われてしまうでしょう。しかし、これらと緘黙には違いがあります。それは、特定の場所で話せないという症状が何ヵ月、何年も長期的に続くことや、リラックスできるような場面でも話せないことが続くということです。

緘黙症の本人は、自分が話している場面をクラスメイトや職場で聞かれたり注目を浴びたりすることに、強い恐怖を抱いてしまいます。特に選択性緘黙症の子どもは、比較的おとなしい性格の子が多いため、口数が少なかったり積極的にお友達と関わろうとしなかったりします。先生や保護者は、それを「その子の性格」と考えてしまい、気長に見守っていこうと思うケースは多いでしょう。

稀に、大人になってから症状が現れるケースもあります。しかし、場面緘黙の症状に対する認知度が低いため、自分が緘黙症であるということに気付けない場合もあるでしょう。

緘黙は、できるだけ早期に症状に気付くことが大切で、年齢に応じた適切な治療やサポートを受けることで、生活のしづらさを軽減できるように対処できます。

2.場面緘黙の原因

緘黙症状を発症する原因は、明確なことが分かっていないのが現状ですが、主に「本人側の要因」と「環境側の要因」に分けて考えられています。

様々な要因が重なり合って引き起こされるのが、この緘黙症です。

①本人側の要因

緘黙症の多くには、本人側の要因として「不安になりやすい」「緊張を感じやすい」という気質があるという共通点があります。そこに、社会不安や分離不安のような不安症が加わる人も多いようです。

不安や緊張しやすいというのは、脳の扁桃体という部位が関係していると言われています。緘黙症の人は、周囲の刺激に対して扁桃体が過剰に反応してしまうため、症状が現れると考えられています。

また、ASD(自閉スペクトラム症)を併存している緘黙症の人が多いという研究結果も上がっていることから、選択性緘黙の背景にはASDが大きく影響しているということを知っておく必要があるでしょう。

その他の要因として、ことばの発達の遅れやコミュニケーション能力の問題、吃音や構音障害のような言語障害、知的障害などが影響していると言われています。

ただし、発達障害の症状としてコミュニケーション能力が低くなり、話さないという人もいるでしょう。その場合は、場面緘黙とは異なります。このような症状の診断は、精神科医や心療内科医による専門的な問診や検査が必要となるため、「話さない」という状況だけで一概には判断できません。
さらには、言語への理解の問題も関係していると言われています。自分が置かれている状況によっては、外国人と話す必要があるというような、馴染みのない言語で話す人が周りに多い場合もあるでしょう。この場合、不安を抱えながら身を置いている状況から、自分を守るために緘黙症が発症することもあります。

②環境側の要因

場面緘黙を発症する場合には、学校や職場などのある特定の場所だけが関わっているわけではありません。身が置かれている環境や状況が継続的なのか断続的なのか、または一時的なのか複数回なのかにより、症状が変わってきます。

緘黙症は、本人の問題だけではありません。緘黙症の発症に最も大きな影響を与える環境因子は、人との関わりです。選択性緘黙のある人は、家庭などの安心できる場所では話せるのですが、これは「話せなくさせてしまう社会的状況」の影響が大きいと言われています。

学校ではクラスメイトや教師、職場では同僚や上司、仕事の取引相手などの存在が大きく影響します。その中で、「話さなくても済んでしまう状況」や「あまり話さない人と思われている状況」においては、話さなくても生活できたり話しづらかったりします。

このように人との関わりが原因となるのは、次のような状況が多いです。

  • 急激な環境の変化(転校やクラス替え、引っ越し、職場の部署異動など)
  • 恐怖、失敗、つらい経験(いじめ、病気、ケガなど)

また、以前は育て方のような家庭環境が場面緘黙の原因であると言われていた時がありました。しかし、最近では育て方などの環境は原因として考えられないとされています。

3.場面緘黙の診断基準

緘黙症の多くは、幼少期である2~6歳頃から発症します。保育園や幼稚園などの家庭ではない場所で、日中生活をした時に気付かれることが多いです。有病率は0.21%と報告されており、数百人に1人の確立だとされています。

つまり、緘黙症は決して珍しい障害ではないということが分かるでしょう。

主に、選択性緘黙症(場面緘黙)の診断には、アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5、または世界保健機関(WHO)の診断基準であるICD-10が用いられます。

①アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5

A.他の状況で話しているにもかかわらず、話すことが期待されている特定の社会的状況(例:学校)において話すことが一貫してできない

B.その障害が学業上、職業上の成績、または対人的コミュニケーションを妨げている

C.その障害の持続期間は、少なくとも 1 ヶ月(学校の最初の 1 ヶ月だけに限定されない)である

D.話すことができないことは、その社会的状況で要求されている話し言葉の知識、または話すことに関する楽しさが不足していることによるものではない

E.その障害は、コミュニケーション症(例:小児期発症流暢症)ではうまく説明されず、また自閉スペクトラム症、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではない

DSM-5は、場面緘黙を不安症としてカテゴライズされています。

②世界保健機関(WHO)の診断基準ICD-10

正常あるいはほぼ正常な言語理解能力の水準および社会的コミュニケーションに十分な表出性言語能力の水準を有していて、ある状況において正常あるいはほぼ正常に話せることが明らかでありながら、他の限局された状況では話せないという、会話が著しく情緒的に決定され選択されることで特徴づけられる病態

ICD-10は、場面緘黙を情緒障害としてカテゴライズされています。

これらの診断基準に基づいて、精神科医による問診を行っていきます。

問診により、人見知りや恥ずかしがり屋などの気質的なものや、周りに対する反抗、わざと話さないなどのケースを除くことが大切です。

そして、診断の一番のポイントは、「他の状況では話せるのにも関わらず、特定の場面や状況では話すことができない」という症状があることです。

この「特定の状況で話せない」ということが、どちらの診断基準において重要なポイントになります。

4.場面緘黙の症状

選択性緘黙(場面緘黙)は気質や性格によるものや、わざと話さないことを選んでいるわけではありません。話したいと思っていても、話せないという状態が特徴的です。

もし、幼少期に発症した緘黙症に対して適切な支援が受けられずに大人になった場合、症状の改善が遅くなるだけではなく、うつ病や不安障害などの他の精神障害や、不登校や引きこもりなどの二次的な問題を生じやすくなります。

この緘黙症は、人によって症状に差がありますが、ほとんどの人の共通点は「不安になりやすい」「緊張しやすい」ということです。ここでは、子どもの場合と大人の場合でよく起きる状況について、まとめてみました。

①子どもの場合

  • 学校のトイレに一度も行けない
  • 話し方や動作が遅く、過保護で育ったと誤解される
  • 授業中に意見を求められても発言できない
  • 体育が苦手で評価してもらえない
  • 挨拶ができないため、無視していると思われる
  • わからないことがあっても質問できない
  • 発表会や卒業式で声を出せない
  • 出席をとる時に声をだしたり挙手したりできない
  • 配布されるプリントが足りなくても言えない

子どもの場合は、特に小学校や中学校などの学校生活で大きな影響が出てしまいます。適した支援や配慮があればこのような悩みは少しずつ減っていくのですが、周りの生徒たちはもとより、教師ですら緘黙症への理解が乏しい状況にあります。

また、友だちから「遊ぼう」と誘われても、「いいよ」と簡単な一言が出てこないという特徴があります。言葉にしたいと思っても、言葉にできない状態であるため、本人もとても苦しい思いをしています。

②大人の場合

  • 不明な点を聞かなければいけない時に話しかけられない のどが圧迫される感じになり、声が出せない
  • 相手の指示にすぐ反応できない
  • 分からないこと、困っていることがあっても言えない
  • 挨拶や雑談ができない
  • 視線が気になってストレスになる
  • プレゼンのような話さなければいけない時がつらい

大人の場合は、つらい症状をごまかしながら働くことで会社に居づらい感覚になってしまい、二次的な問題を引き起こすきっかけになります。

また、仕事中に上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかず、トラブルになってしまう可能性があります。例えば、指示が分からない場合、何か聞きたいことがあってもその声が出なかったり、慣れない場面において思うように身体が動かなかったりという状態が起きることがあります。

5.場面緘黙と発達障害

場面緘黙は、発達障害者支援法の対象となっている障害です。

この場面緘黙症になっている人の中には、自閉症スペクトラム障害(ASD)のような発達障害が原因で緘黙が引き起こされていることが多いと言われています。

また、場面緘黙は発達障害と併発して起きやすいため、それらを考慮した治療法が必要となってきます。

併発しやすい発達上の障害として、自閉症スペクトラム障害の他にコミュニケーション障害や発達性協調運動障害、軽度の精神発達遅延が挙げられます。

6.場面緘黙の治療法

緘黙を疑った場合は、まずは精神科や心療内科、メンタルクリニックを受診し、専門医に診察を受けるようにしましょう。

人によっては、場面緘黙だけ発症しているのか、それとも発達障害を合併しているのか判断することが必要です。場面緘黙の人の中には、うつ病のような精神障害を合併している可能性もあるため、自己診断はやめましょう。

ここでは、場面緘黙の治療として挙げられる4つの治療法をご紹介します。

①認知行動療法

自分の考え方や行動のクセや特徴を把握し、どのようにすれば症状を和らげられるか整理していくことでストレスを軽減させていきます。

②薬物療法

不安症状を緩和するために行われる薬物療法は、うつ状態や不安症状を緩和・軽減する効果が期待できますが、緘黙症状自体の治療効果があるわけではありません。

③言語聴覚士による支援

言語聴覚士は言葉や聴覚に関する問題に、身体機能の面からサポートする専門家です。場面緘黙による、社交不安や吃音などの併存障害がある場合に支援の効果が現れます。まずは、一人ひとりにあったトレーニング方法により、場面緘黙の症状を軽減させます。

④TMS治療

TMS治療は、磁気刺激治療とも言われている治療法です。アメリカ食品医薬品局(FDA)に認可されています。

うつ病や不安障害などの精神障害の症状に、効果が期待できる治療法です。場面緘黙を引き起こす可能性がある、うつ症状や不安症状の緩和に期待ができるため、場面緘黙を発症する可能性を低めるでしょう。

場面緘黙の治療として、子どもの場合は家庭と学校などが協力して、まずは安心できる環境を調整してあげることから始めましょう。一気に症状を治すのではなく段階的に治療や訓練を行い、無理せずにスモールステップを踏んでいくという考え方が大切です。

緘黙症状は適切な支援と周りの配慮によって、症状を改善させることができます。ライフステージごとに対応の仕方も変わってきます。周りの人は、緘黙の人が安心して話せるような環境を提供するようにしましょう。

7.場面緘黙の方が受けられる支援

上記にも示したように、場面緘黙は発達障害者支援法の対象となっている障害です。そのため、法に基づいた様々な支援を受けることが可能です。主に利用できる支援は、次のとおりです。

①精神障害者保健福祉手帳

緘黙症を含めた、発達障害者などの精神疾患を抱えている人が交付を受けられる福祉サービスの一つです。精神的な障害があることを証明できる手帳であり、様々な支援を受けることが可能です。

障害の程度に合わせて、以下の観点から手帳の等級が決まります。

  • 精神疾患の存在の有無
  • 精神疾患(機能障害)の状態
  • 能力障害(活動制限)の状態
  • 精神障害の程度の総合判定

等級については、1級~3級までがあります。それぞれの障害の程度は次のとおりです。

等級

内容

1級

精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(仕事をする上で困難があるほどの症状)

  • 医療機関への外出は、付き添いがないと一人ではできない
  • 食事の準備、片付けなどの生活が一人ではできない
  • 金銭管理が難しい

2級

精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(単純な仕事であれば従事できる症状)

  • 付き添いなしで外出できるが、何か起きた時に一人で対処できない
  • 清潔保持を行うことが難しい
  • 日常生活において、適切な発言ができないことがある

3級

精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの(一般就労が可能)

  • 日常的な家事はできるが、手順が変わると対応できないことがある
  • 周囲の人と行動を合わせられる
  • 常に引きこもっているわけではない

精神障害者保健福祉手帳を取得し、福祉サービスを受けるためには、まずは精神科に受診し6ヵ月以上経過していることが条件となります。一定期間の通院により、発達障害を含めた精神疾患の症状が続いていることを明確にする必要があります。

手帳の交付には年齢制限はありませんが、支援内容を考慮して自立した生活を送れるようになる、18歳以上になってから申請される方が多いという特徴があります。

手帳を持つことで受けられるサービスには、次のようなものがあります。

 

支援内容

公共料金などの割引

  • NHK受信料の減免
  • 鉄道、バス、タクシーなどの運賃割引
  • 携帯電話料金の割引
  • 上下水道料金の割引
  • 心身障害者医療費助成
  • 公共施設の入場料などの割引

税金の控除・減免

  • 所得税や住民税の控除
  • 相続税の控除
  • 自動車税や自動車取得税の軽減(手帳1級が対象)

その他

  • 生活福祉資金の貸与
  • 手帳所持者を事業主が雇用した場合の障害者雇用率へのカウント
  • 障害者職場適応訓練の実施
  • 公営住宅の優先入居

詳しい内容は、以下を参照してください。

⇒「精神障害者保健福祉手帳を取得するメリット・デメリットとは

②就労移行支援

就労移行支援とは、障害や病気のある方が、社会生活においてスムーズに就労できるために受けられるサービスです。就労に必要となる知識や技術を習得し、就職活動のサポートが受けられます。

場面緘黙を含めた発達障害などの精神疾患では、障害者総合支援法に基づき、18歳以上の大人であれば就労移行支援が受けられるようになっています。

就労移行支援とは、専門の事業所に学校のように通いながら就職に向けた様々なスキルや知識を学びます。就職に関する準備、相談などに対応しており、一般企業への就職が可能になることもあります。

このサービスは、原則2年の期間利用できます。主な支援内容は、次のとおりです。

  • 就職に関する相談や支援
  • 就職に必要な知識、能力を身につける職業訓練
  • 求職活動に関する支援
  • 本人の適性に合った職場探し、アドバイス
  • 履歴書や応募書類の添削、模擬面接などの就職活動サポート
  • 企業における職場実習などの機会の提供
  • 就職後の職場定着のための支援

この他にも、様々な支援が受けられます。また、障害者手帳がない場合でも、お住まいの自治体によって利用できるため相談することをおすすめします。

就労移行支援のサービス利用には、利用料を負担する場合があります。

  • 生活保護世帯・・・負担額0円
  • 市町村税非課税世帯(世帯収入300万円以下)・・・負担額0円
  • 市町村税課税世帯のうち世帯収入600万円以下・・・月額9,300円
  • 市町村税課税世帯のうち世帯収入600万円以上・・・月額37,200円

このように1ヵ月に必要となる負担額は決まっていますが、障害の程度によっては医療や介護を必要とする場合があるでしょう。その場合は、減免対象となるケースもあるため、窓口で確認してください。

③自立支援医療

自立支援医療とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づき、場面緘黙を含む精神疾患の治療にかかる医療費の自己負担を3割から1割に軽減できる制度です。

自立支援医療には、次の3つがあります。

  • 精神通院医療(精神疾患の治療)
  • 更生医療(身体障害の治療など)
  • 育成医療(身体障害がある子どもの治療)

この制度は、都道府県や政令指定都市が実施主体となっています。すべての精神疾患を対象とし、通院による継続的な治療が必要とされる方々に申請・利用できます。

一般的に、公的医療保険による自己負担額は3割となっていますが、この制度を利用することで原則1割にまで軽減できるため、負担が少なくなるでしょう。

例えば、精神通院医療において自己負担額と世帯所得は次のような関係になっています。

所得区分

世帯所得状況

月額負担上限

「重度かつ継続」の場合の上限額

生活保護

生活保護を受給している世帯

0円

0円

低所得1

市町村民税非課税であり、本人の所得が80万円以下

2,500円

2,500円

低所得2

市町村民税非課税であり、本人の所得が80万円より上(80万1円以上)

5,000円

5,000円

中間所得1

市町村税の納税額が3万3,000円未満

「高額療養費制度」の限度額が上限

5,000円

中間所得2

市町村税の納税額が3万3,000円~23万5,000円未満

10,000円

一定所得以上

市町村税の納税額が23万5,000円以上

対象外

20,000円

ただし、自立支援医療の制度を利用する場合は、次のような注意点があります。

  • 都道府県で定めた「指定医療機関」でしか利用できない
  • 受給者証と限度額管理票を毎回提示する必要がある
  • 受給者証が届くまで、時間がかかる
  • 1年ごとに更新が必要
  • 払い戻し手続きができる場合と、できない場合がある

通院が長期化し、定期的に通院する必要がある精神疾患では、お金の心配を少しでも軽減させることが大切です。治療に専念できるように、経済的な不安を和らげることを目的として自立支援医療を利用しましょう。

詳しいことは、厚生労働省の公式ホームページを参照してください。

厚生労働省「自立支援医療」

8.生活や仕事における工夫

場面緘黙症を抱えている人は、日常生活や社会生活を送るにあたり支障を来している場合があります。どのような対応をすることで、生活のしづらさを軽減できるか工夫することが大切です。

子どもの場合は、なかなか自分で工夫できないかもしれません。大人の方や周りの方が、意識して対応する必要があります。

生活や仕事における工夫として、いくつか紹介してきます。

①自分の症状をまとめる

まずは、自分の緘黙症の特徴を知ることが大切になります。自分がどのような状況・環境において、どの程度の緘黙症が現れるのか整理しましょう。

「家庭ではふつうに話せるが、学校や職場では話せないことがある」といった場合が多いでしょう。そこをさらに深堀りしていきます。

学校や職場で話せないというのは、「友だちや同僚と話すとき」なのか「授業中に先生から指名されたとき・職場内の会議で発現するとき」などの状況があります。

一度、紙に書き出し、無理な状況や可能な状況、誰と話せるかどうかなど自分を詳しく把握することが大切です。

整理してみると、自分が克服できそうな状況かどうか分かるでしょう。少しずつコミュニケーションが取れるよう、できる範囲から慣れさせていきましょう。

②どのように周囲へ伝えるか考える

学校や職場においてコミュニケーションがうまく取れないことで、友だちとの関わりが難しくなったり職場でトラブルになったりすることがあるでしょう。

そこで、授業を受けたり職場で仕事をしたりする上で、本人が周りの人に緘黙症について理解してもらうことが大切です。

症状を説明することは、緘黙症を発症することもあり口頭では難しいかもしれません。そこで、テキストを使用して症状をまとめたり、職場の上司であれば通院しているかかりつけ医に症状の説明書を書いてもらったりといった工夫をしてみましょう。

うまく言葉が出てこない本人も辛いですが、周りの人もどのように対応したらいいのか分からず困っていることでしょう。どのように円滑にコミュニケーションが取れるのか、本人や周りの人、保護者、医師などが携わって話し合うことが大切です。

③合理的配慮

合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と一緒に、平等な関係で日常生活や社会生活を送るために、教育現場や職場で行われる工夫や調整のことです。

身体に障害があり車いすを使っている人には、スロープを設置してバリアフリー対応にするといった環境調整をします。

場面緘黙症の場合は、例えば、コミュニケーションが取れない状況に出くわした時に、話したい内容をうまく伝えるためにホワイトボードやノートを用いて筆談をしてもいいという環境を整えてあげます。

このような工夫は、周りの人に自分自身の症状を伝えることで配慮してもらえます。主に、次のような工夫が挙げられます。

  • やり取りはテキストやチャット、メール、筆談にしてもらう
  • 指示はメモでもらう
  • 質問は「はい・いいえ」で回答できるようにする

合理的配慮による考え方を取り入れた法律として、2016年に施行された「障害者差別解消法」があります。そして、合理的配慮は国や自治体などは法的義務、民間企業や事業者は努力義務として定められています。

配慮という言葉を使っていますが、義務であるということを知っておきましょう。

企業や事業者は、障害のある人の壁を取り除き、平等な機会を設けることが義務付けられています。場面緘黙症のような障害がある人は、遠慮することなく周りの人に自分の症状について伝えていきましょう。

9.まとめ

場面緘黙症は、ある特定の状況や環境において言葉が発せなくなる症状のことです。幼少期の場合は、場面緘黙の症状が自然に治まることがあるでしょう。適切な治療やサポートが受けられることで、落ち着いて生活することが可能な障害です。

大人の場面緘黙症の場合は、治るまでに時間がかかりますが、社会生活において症状とうまく付き合っていくためには、様々な工夫を行うことが大切でしょう。また、本人の工夫と合わせて、周りの人に働きかけることも良い方法です。

場面緘黙症は、なかなか理解されることが難しい障害と言えます。どのような配慮があれば、自分はスムーズにコミュニケーションがとれるのか、相手に気持ちを伝えられるのか、関わる人たちと一緒に考えていきましょう。