ブロチゾラム(商品名:レンドルミン)とは
ブロチゾラムは、レンドルミンという商品名で1983年にスイスで初めて発売された睡眠薬です。その後日本でも1988年に販売されました。今では多くのジェネリック医薬品が販売され、過去にはグッドミンやゼストロミンといった名前のジェネリック医薬品が発売されていましたが、現在は名称変更されジェネリック医薬品は全て名前にブロチゾラムがつくようになっています(以下、ブロチゾラムという名前で統一)。
また、ブロチゾラムには、水と一緒に服用する一般的な錠剤タイプと、口の中ですぐに崩壊する口腔内崩壊錠という水なしで服用できるタイプの錠剤も販売されています。
ブロチゾラムはベンゾジアゼピン系という種類のお薬で、脳の活動を和らげてやることでリラックスさせたり眠気を誘ったりする効果を有します。また、ベンゾジアゼピン系には多くのお薬があり、それらは作用時間や効果の強弱によってさらに分類されます。ブロチゾラムはその中で作用時間が短いタイプのお薬で、服用すると効き目が早く現れ、早く消失します。そのため睡眠効果が翌日に効果が持ち越すことが少なく日中の活動がそこまで制限されることがありません。
ベンゾジアゼピン系のお薬は優れた有効性を持ち、昔から幅広く使用されてきたお薬である一方、副作用に気を付けなければいけないお薬でもあります。特に注意が必要な副作用として依存症があります。お薬を服用しなければ落ち着かない、用量を増やさなければ効果が無くなる、といった症状が発現します。一般に作用時間が短いお薬ほどこのような依存症が発現しやすい傾向があるため、ブロチゾラムを服用中の方は医師、薬剤師の指示通りに服用することが必要です。
ブロチゾラムの作用について
ブロチゾラムは短時間作用型の睡眠薬です。服用後、15分~30分程度で速やかに効果が発現し、7~8時間程度効果が持続します。そのため、入眠障害(寝つきが悪い方)や中途覚醒(途中に何度も目が覚める方)に対して有効です。
不眠症以外にも手術などの麻酔の前に不安を取り除いたり麻酔の効きをスムーズにするために使用することもあります。
ブロチゾラムの服用方法について
現在販売されているブロチゾラムの種類は以下の通りです。
- 0.25mg錠(水と一緒に服用)
(過去に0.125mg錠も販売されていましたが、品質の観点からメーカーが販売中止しています。)
- 0.25㎎M錠(水と一緒に服用)
- 0.25mgD錠/OD錠(水なしで服用可能)
錠剤の形をしたお薬は一般的にその形が崩れてバラバラにならないと体内に吸収されません。D錠やOD錠、M錠といった錠剤は、口の中ですぐに崩壊するため、すでにバラバラになった状態で消化管へ運ばれるためより速やかに吸収されるという特徴があります。それらは吸収性の違いはありますが、有効性に差はありません。
ブロチゾラムの服用方法として、不眠症に対しては1回0.25㎎を就寝の直前に服用します。麻酔前の使用においては、手術の前夜に1回0.25㎎を就寝前に、そして麻酔の前に0.5㎎を服用します。
ブロチゾラムの注意点について
ブロチゾラムはベンゾジアゼピン系に分類されるお薬で、すでに記載した通り優れた効果をもつ一方で副作用にも注意が必要なお薬です。報告されている主な副作用は以下の通りです。
- 残眠感/眠気:2.2%
- ふらつき:1.0%
- 頭重感(頭が重い感じがする):0.7%
- だるさ:0.7%
また、その他に注意すべき重大な副作用として、依存性や離脱症状、一過性前向性健忘があります。依存性や離脱症状は、特に長期間お薬を服用すると生じやすい副作用で、お薬がないと落ち着かなくなったり、服用量を増やさないと効果がなくなってしまったりします。また、いきなりお薬の服用を止めてしまうと症状が一気に悪化したりします。一過性前向性健忘とは、一時的に記憶が無くなってしまうことを言い、お薬服用後から眠りに入るまでの記憶が無い、睡眠途中で覚醒した後に異常行動をとり、その記憶が無いといった報告がされています。
また、ブロチゾラム服用期間中の飲酒も注意が必要です。アルコールとブロチゾラムの作用は似ているため睡眠作用や副作用が増強される可能性があります。お仕事の付き合いでどうしてもお酒を飲まなければいけない場合などは、あらかじめ医師・薬剤師に相談するようにしてください。
服用できない/注意が必要な患者さん
以下の患者さんはブロチゾラムを服用することができません。
- 緑内障の患者さん
- 重症筋無力症の患者さん
- 肺気腫など呼吸機能が大きく低下している患者さん
また、以下の患者さんは少量から開始するなど慎重な投与が必要です。
- 65歳以上(高齢者)の患者さん
- 妊婦/授乳中の患者さん
65歳以上の高齢者の場合、肝臓の機能が弱まっている可能性があるため、副作用が強く出てしまうことがあります。妊婦/授乳中の患者さんにおいては、服用により胎児・母乳へお薬が移行することが分かっています。特に妊娠初期の服用には注意が必要です。