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Update:2023.02.22

エチゾラム(商品名:デパス)とは

目次

エチゾラム(商品名:デパス)とは

 エチゾラムはデパスという商品名で1983年に販売されたお薬です。販売開始から30年以上経過している現在でも多く使用されているお薬で非常に効き目が高いとされています。ジェネリック医薬品も多く販売されており、その場合は「エチゾラム」が商品名につきます(以下、エチゾラムという名前で統一します)。

エチゾラムはベンゾジアゼピンという種類に分類されるお薬で、それらは作用時間や効果・副作用の強さなどによってさらに分類されます。一般的にベンゾジアゼピン系は抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用(強張った筋肉を緩める作用)といった作用があり、お薬によってそれぞれの作用の強さが異なります。患者さんの症状や状態を診てどのお薬を使うべきかを判断します。エチゾラムは短時間作用型に分類され、服用して3時間程度で最高血中濃度に達します。作用は他のベンゾジアゼピン系と比べて高く、精神科領域だけではなく腰痛や肩こりに対して整形外科や内科でも処方されることがあります。しかし、ベンゾジアゼピン系全般に依存性という副作用があります。依存性はベンゾジアゼピン系の作用時間が短いほど生じやすいとされ、エチゾラムは短時間作用型であるため注意が必要です。

エチゾラムは効果が高く使いやすいお薬でありますが、それ故昔から乱用されてきました。一度依存性が生じてしまうと断薬(お薬を辞める)には苦労することになります。そういった背景もあり、現在は1回の処方日数の上限が30日までと制限されています。

 

エチゾラムの作用について

エチゾラムには高い抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用(強張った筋肉を緩める作用)があり、さらに即効性もあります。具体的には以下の症状に対して使用されます。

  • 神経症※1や、うつ病における不安や緊張・睡眠障害など
  • 心身症※2における身体症状や不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
  • 統合失調症※3における睡眠障害
  • 腰痛などの筋緊張

※1神経症:心が原因で生じる不安やパニックなどの精神症状を引き起こす病気
※2心身症:心が原因で生じる胃潰瘍や頭痛、過呼吸といった身体症状を引き起こす病気
※3統合失調症:脳の機能が低下し記憶力の低下や幻覚・幻聴といった様々な精神症状を引き起こす病気

即効性があるため突発的に生じた不安や入眠障害(寝つきが悪い)といった症状に対してよく使用されます。ただし、作用の持続時間は短いため、中途覚醒(夜中に目が覚める)や早期覚醒(朝早くに目が覚める)といった場合にはあまり適さないお薬です。持続的に作用させるためには1日に3回程度服用する必要があります。

エチゾラムの服用方法について

エチゾラムは以下の用量が販売されています。

  • 0.25mg錠
  • 0.5mg錠
  • 1mg錠
  • 1%細粒 

頓服(症状が生じた際にだけ服用する)として使われることも多いですが、効果を持続させる目的で使用する場合、一般的に患者さんの状態によって以下のように使い分けます。

  • 神経症/うつ病の場合:1回1mgを1日3回服用する。
  • 心身症/筋緊張の場合:1回0.5mgを1日3回服用する。
  • 睡眠障害の場合:1~3mgを寝る前に1回服用する。

なお、65歳以上の高齢者の場合は、1日の投与量が1.5㎎を超えてはいけません。

エチゾラムの注意点について

エチゾラムはベンゾジアゼピン系の中でも高い作用を有するお薬ですが、同時に副作用にも注意が必要となるお薬です。

主な副作用としては以下のものがあります。

  • 眠気:3.6%
  • ふらつき:1.95%
  • けん怠感(だるさ):0.62%
  • 脱力感:0.37%

そのため、服用期間中に車などの危険を伴う機械の運転はしてはいけません。また、エチゾラムの作用はアルコールと似ているため、エチゾラムの服用期間中に飲酒された場合、お薬の効果、副作用が強く出てしまうことがあります。

その他に注意しなければならない重大な副作用として依存性/離脱症状があります。依存性とは、お薬を長期的に服用すると起こりやすい症状で、お薬をもっと飲みたい、飲まないと落ち着かないといった症状が発現します。また、お薬を減量・中断した際に一気に病状が悪化してしまう離脱症状も注意が必要です。これらは作用時間が短いお薬ほど生じやすい傾向があり、エチゾラムは短時間作用型のお薬であるため特に注意が必要です。

服用できない/注意が必要な患者さん

以下の患者さんはエチゾラムを服用することができません。

  • 緑内障の患者さん
  • 重症筋無力症の患者さん

また、以下の患者さんは少量から開始するなど慎重な投与が必要です。

  • 65歳以上(高齢者)の患者さん
  • 妊婦/授乳中の患者さん

65歳以上の高齢者の場合は副作用が出やすいため眠気やふらつき、健忘(もの忘れ)に注意が必要です。服用後の単独での外出はなるべく避けるようにしましょう。妊婦/授乳中の患者さんにおいては、服用により胎児・母乳へお薬が移行することが分かっているため、服用の必要性について医師・薬剤師に相談するようにしてください。