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Update:2023.03.06

クロキサゾラム(商品名:セパゾン)とは

目次

クロキサゾラム(商品名:セパゾン)とは

クロキサゾラムは、セパゾンという商品名で1973年から使用されているベンゾジアゼピン系に分類される抗不安薬です。ベンゾジアゼピン系のお薬には脳の働きを抑える作用があります。精神的に不調を来たしている患者さんは、通常よりも脳が過剰に働いている状態であり、それにより強い不安を感じたり眠れなかったりといった症状が発現します。ベンゾジアゼピン系のお薬は脳の働きを抑えることによりそれらの症状を改善することができます。ベンゾジアゼピン系のお薬には多くの種類があり、中には1960年代から使用されている物もあります。現在でも精神科領域を中心に広く使用されており、それぞれ作用時間の長さや作用の強弱が異なるため、患者さんの症状に応じて最適なお薬を選択することが可能です。また、抗不安や催眠作用だけでなく、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩作用も有するため、ひどい肩こりを有する方に対して整形外科などで処方されることもあります。

精神症状に対して優れた作用を有するベンゾジアゼピン系のお薬ですが、副作用に注意しながら服用する必要があります。うつなどの精神疾患は、薬物治療や心療カウンセリングといった治療を数か月~数年程度継続します。そして、ベンゾジアゼピン系のお薬は特に長期使用した場合に「依存」が形成される可能性があるお薬です。依存が形成されると、これまでに服用していた用量では効果が得られなくなったり、短い間隔で必要以上に服用したいという衝動に駆られます。そのため漫然とした長期使用はせずに治療効果が認められると徐々に用量を減量していくことが必要です。

自身の判断で用量を変更したり、中断すると病状がかえって悪化することもあるので医師・薬剤師の指示通りに服用することが大切です。状態を定期的に医師・薬剤師に相談しながら治療を継続するようにしましょう。

 

クロキサゾラムの作用について

 ベンゾジアゼピン系のお薬にはそれぞれ作用時間や作用の強さが異なると既に記載しましたが、クロキサゾラムはベンゾジアゼピン系のお薬の中で、半減期(お薬が体内に吸収後、血中濃度が半分になる時間)が20時間程度あり長時間作用型とされています。他のベンゾジアゼピン系のお薬には半減期が6時間以内の短時間作用型や90時間以上の超長時間作用型といったお薬もあります。そして、クロキサゾラムは他のベンゾジアゼピン系と比べて抗不安作用が強い一方、催眠作用や筋弛緩作用は弱いとされています。

 クロキサゾラムはこころが原因で精神的・身体的症状が発現する神経症/心身症における種々の症状に有効です。また、外科手術が行われる前の不安症状を取り除くために使用されることもあります。

 

クロキサゾラムの服用方法について

クロキサゾラムには以下の剤形が販売されています。

  • 1%散剤(1包1gあたり10mgのクロキサゾラムが含まれています。)
  • 1㎎錠
  • 2㎎錠

 

通常成人に対しては、1日3~12mgを3回に分けて服用しますが、患者さんの年齢や症状に応じて適宜増減します。手術前の不安除去のために使用する場合は、通常、体重1kg当たり0.1~0.2mgを手術前に服用します。

 

クロキサゾラムの注意点について

過去のクロキサゾラム投与にて確認された副作用は以下の通りです。

  • 眠気:6.35%
  • ふらつき:4.16%
  • 倦怠感(だるさ):1.38%
  • 口喝(口の渇き):1.13%

 

クロキサゾラムはベンゾジアゼピン系の中で長時間作用型のお薬となります。そして、他のベンゾジアゼピン系のお薬よりも弱いですが催眠作用や筋弛緩作用があります。そのため、夜間に服用したとしても翌日以降へ作用が持ち越してしまい、日中の眠気やふらつきといった症状に繋がってしまいます。服用期間中は、車などの危険を伴う機械の運転は基本的に避け、どうしても必要がある場合は事前に医師・薬剤師に相談するようにしましょう。

 

服用できない/注意が必要な患者さん

以下の患者さんはクロキサゾラムを服用することができません。

  • 過去にクロキサゾラムを服用してアレルギー症状を起こしたことがある方
  • 閉塞隅角緑内障を有する方
  • 重症筋無力症を有する方

 

 クロキサゾラムは眼圧の調整を行う筋肉や、手足の運動に関わる筋肉に対して影響を及ぼすことがあるため、緑内障や重症筋無力症の方は服用することができません。

高齢者の患者さんは通常よりも肝臓や腎臓の働きが弱まっている可能性があるため、効果や副作用が強く発現する可能性があります。眠気や、筋弛緩作用による転倒など特に注意が必要です。妊娠中や授乳中の方の場合、胎児や母乳中へお薬が移行することが分かっています。妊娠中にお薬を投与された方において、出生児に障害が認められたという報告や、授乳した新生児において傾眠や体重減少といった症状が認められたという報告があります。また、クロキサゾラムの作用はアルコールと似ているため、服用期間中に飲酒を行うと副作用の発現につながるため注意が必要です。