ブロマゼパム(商品名:レキソタン)とは
ブロマゼパムはベンゾジアゼピン系に分類されるお薬で、抗不安作用、催眠作用、鎮静作用といった作用を有します。中でも抗不安作用や鎮静作用、筋弛緩作用(筋肉のこわばりを和らげる作用)は他のベンゾジアゼピン系のお薬と比較しても強い作用があります。国内においては1977年にレキソタンという名称で2mg錠、5mg錠、1%細粒が販売され、1987年に1mg錠が追加となっています。現在では多くのジェネリック医薬品も販売されており、その場合は名前にブロマゼパムとつきます(以降、ブロマゼパムという名称で統一します)。ブロマゼパムは精神科や心療内科において精神的な不調を感じている患者さんに使われることが多いですが、肩こりや腰の痛みの軽減を目的として整形外科や内科で処方されることもあります。
なお、ブロマゼパムを含め、ベンゾジアゼピン系のお薬は優れた作用を有する一方で注意すべき副作用も多くあります。副作用の懸念からベンゾジアゼピン系の多くのお薬は処方可能な日数に制限が設けられており、ブロマゼパムの場合は一度に30日分までしか処方することができません。
ブロマゼパムの作用について
ブロマゼパムは優れた抗不安作用や鎮静作用を有します。
承認されている効能・効果は以下の通りです。
- 神経症※1における不安・緊張・抑うつ・強迫・恐怖
- うつ病における不安・緊張
- 心身症※2における身体症候・不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
- 麻酔前投薬
※1神経症:ノイローゼともいいストレスなどが原因で強い不安感や緊張感やパニック発作などを生じる症状。身体症状は発現しない。
※2心身症:ストレスにより吐き気、頭痛といった身体的な不調を生じる症状。
服用後、1時間で血中濃度はピークを迎え、72時間以内にほとんどが体外に排泄されます。服用後作用発現までの時間は他のベンゾジアゼピン系のお薬と比較すると早い方で、作用の持続時間としては中間型とされます。
ブロマゼパムの服用方法について
ブロマゼパムは以下の用量が販売されています。
服用量は、患者さんの年齢・症状によって適宜増減しますが、基本的には以下の用法にて使用します。
- 神経症、うつ病:6〜15mgを1日2〜3回に分けて服用
- 心身症:3〜6mgを1日2〜3回に分けて服用
- 麻酔前投薬:5mgを就寝前又は手術前に服用
プロマゼパムの注意点について
開発期間中に見られた主な副作用は、眠気:15.69%、ふらつき:7.75%、疲労感:5.74%などでした。
ブロマゼパムの作用持続は1日~2日程度持続するため、日中の眠気やふらつきといった副作用の発現頻度は高い傾向にあります。日中の活動に影響が出ることが考えられるため、自動車の運転などには注意が必要です。基本的に服用期間中に注意力や集中力が必要な機械操作は行ってはいけません。どうしても必要な場合は別のお薬へ変更するなど対応方法を医師と相談してください。
また、プロマゼパムとアルコールは作用がとても似ています。そのため、併用によってお薬の作用や副作用が強く出てしまう可能性があり、服用期間中の飲酒は控えるようにしてください。
その他に注意すべき重大な副作用として薬物依存があります。特に長期的にプロマゼパムを服用することでその危険性は増すとされています。依存が形成されると、同じ量を服用しても症状が軽減されなかったり、頻繁にお薬を飲みたくなったりします。さらに服用量を急に減らしたり中断してしまうと、これまでの症状が一気に悪化したり、けいれん発作が生じることがあります(離脱症状といいます)。患者さんの自己判断で服用量を増減することは非常に危険ですので医師や薬剤師の指示通りに服用しましょう。
服用できない/注意が必要な患者さん
次の患者さんは服用できません。
- プロマゼパムの成分に対して過敏症の既往歴のある患者さん
- 緑内障の患者さん
- 重症筋無力症の患者さん
また、次の患者さんは服用するのに注意が必要です。
- 心臓、肝臓、腎臓、呼吸器官に障害がある患者さん
- 高齢者(65歳以上)の患者さん
- 妊婦・授乳中の患者さん
他のベンゾジアゼピン系のお薬において心臓や呼吸器官に影響が出たという報告があるため、心臓、呼吸器官に障害をお持ちの患者さんは注意が必要です。
また、高齢者の患者さんは通常と比べ肝機能や腎機能が低下している場合があり、お薬の分解や排泄に時間がかかります。また、筋肉量も減っていることが多く、お薬の筋弛緩作用(筋肉のこわばりを和らげる作用)により、ふらついて転倒してしまう可能性があります。なるべく外出する際は単独の行動は避け、移動もタクシー等を利用するようにしましょう。
妊婦の患者さんは、ベンゾジアゼピン系のお薬により胎児に影響が現れた(催奇形性)との報告もあります。また、お薬が母乳へ移行することも分かっています。妊娠中、授乳中の患者さんは服用の必要性について医師・薬剤師に相談するようにしてください。服用が必要と判断された場合は、母乳を避けミルクを与えるようにしてください。