プログラムの実施方法

プログラムの実施方法

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プログラムの実施方法

 集団認知行動療法の基本的な実施方法は、以下の通りです。ただし、グループの目的に合わせてプログラムは工夫できます。

①参加対象

 参加条件は、グループの目的に応じて定めます。

  • (1)目的(職場復帰を目指すうつ病休職者、家族との関係上でストレスをかかえている女性など)
  • (2)診断や症状
  • (3)年齢
  • (4)症状が安定して、基本的に全セッションへの参加が可能であること
  • (5)主治医がグループへの参加を許可していること

②時間・回数

 セッションの時間や回数は、グループの目的や治療形態によって異なりますが、一般には週1回、60分間のセッションを3カ月(約12回のセッション)ぐらい続けて実施しています。週1回、90分間のセッションを8~9回で構成しているグループもありますので、目的に合わせて回数や時間は設定するとよいでしょう。

③場所

 参加人数を考慮し、集団療法ができる広さの場所を用意します。机と椅子の他に、内容を記録するための白板(または黒板)も用意しておくと便利です。机の配置は、人数によっても変わりますが、ロの字やコの字型が適当かと思います。

④スタッフ

 グループの目的によって構成人数も変わりますが、一般に医師・心理士・看護師・精神保健福祉士などがスタフとして加わると良いでしょう。

⑤教材

 プログラムに合わせて、テキストやワークシートを作成し、使用します。

⑥費用

 実施形態(通院集団精神療法、デイケア、自費診療など)によって参加費用は異なります。

⑦各セッションの流れ

 各セッションの開始から終了までの基本的な流れは、導入(目標と内容確認が約7~10分)、講義(テキストを用いた学習が20~30分)、個人ワーク(15~20分)、グループワーク(15~25分)、まとめ(5分ぐらい)の内容で進めていきます。

⑧プログラムの構成

 グループの目的に合わせて、プログラムを組みます。

  • ◇ プレセッション:グループの目的、構造、内容などの説明。
  • ◇ 認知面へのアプローチ:うつの思考パターンの解説、状況・気分・自動思考の関連についての説明。自動思考記録表の説明および作成など。
  • ◇ 行動面へのアプローチ:問題解決策リスト、アクションプランの説明および作成など。
  • ◇ コミュニケーション面へのアプローチ:コミュニケーションのチェック。アサーショントレーニング、ロールプレイングなど。

『パニック障害』の認知行動療法

誤った学習の是正

 パニック障害の患者さんには、特有の認知的特徴が認められます。一般の人には普通に生じている出来事でも、パニック障害の患者さんにとってみると、それは自分を死に至らしめる「危険で最悪の事態である」と受け止めます。よくある例として、電車に乗っているときにパニック発作が起きると、「電車に乗ると必ずパニック発作が起きる」と学習し、本来は関係ない二つの事柄を関連づけてしまいます。その結果、電車に乗るとまた発作が起きるのではないかという予期不安が生じ、電車に乗るのを避けるという広場恐怖へと発展していきます。また、パニック発作を繰り返す中で、実際には問題はないのに危険だなと、誤って学習することもあります。

こうした誤った学習の結果、「また起きるかもしれない」と考えただけで、心臓がドキドキしたり、呼吸がいつもより速くなったりすると、「自分は、このまま死んでしまうかもしれない」と、悪い方にばかり考えてしまいます。さらに、薬を飲んでも効かないと「一生治らないのでは」と極端に考えたり、根拠もないのに物事を断定したり、ささいな出来事を深刻にとらえるようになります。この誤った学習が、ある身体的感覚を破局的に受け止め、さらに、パニック発作が起きるかもしれないという可能性に対する知覚が不安感を生じさせ、その不安そのものが危険であるという信念となって、回避行動を起こすというメカニズムが分かっています。その結果、エクスポージャー(暴露療法)によって不安を消去し、適切な接近行動がとれるようにすると同時に、患者さんの認知の修正をねらうことができる認知行動療法が、パニック障害の治療法として用いられるようになりました。

身体感覚への誤解をとく

 パニック障害の患者さんは、息切れ、動機、発汗、めまいなどのような、ちょっとした体の変化に対して、悪い方向に拡大解釈する傾向があります。誰でも不安になれば感じる正常な身体感覚でも、患者さんにしてみればそれが心臓発作や脳卒中のような一大事の病気と考えてパニックになります。「このまま死ぬのではないか」と強い不安に襲われます。したがって、身体症状をたえず気にし、小さな変化に過敏になります。発作が起きるのがこわくなり、外出や運動をひかえるなどの回避行動をとるようになります。また回避することが、身体症状を抑える方法だと考えたりします。身体の変化を何度も繰り返すパニック発作を起こすと、さらに不安が強まって悪循環し、ついには死の恐怖に襲われるのです。そして強い緊急性や危険性を感じるようになるのです。

パニック障害の背景には、身体感覚への誤解があると考えると、その誤解を特定して客観的に分析し、症状に危険性がないとわかれば不安は和らぐはずです。そこで認知行動療法では、その認知をとらえて、治療技法でもって介入することにより、誤解をといて危険がないことを実感できるようになります。治療を通して、息切れやめまいは誰にでもあることだと認識しなおすと、パニック発作に襲われることは減ってきます。パニック障害に対する認知行動療法の評価点としては、①治療期間が比較的短期である、②治癒率が高い、③再発率が他の治療法に比べて低い、④患者さんにとって問題の理解と治療法の理解が得られやすい、などが挙げられています。

【パニック発作の症状】

  1. 心悸亢進、心臓がドキドキする、または心拍数が増加する。
  2. 発汗。
  3. 身震い、手足の震え。
  4. 呼吸が速くなる、息苦しい。
  5. 息が詰まる。
  6. 胸の痛み、または不快感。
  7. 吐き気、腹部のいやな感じ。
  8. めまい、不安定感、頭が軽くなる、ふらつき。
  9. 非現実感、自分が自分でない感じ。
  10. 常軌を逸してしまう、狂ってしまうのではないかと感じる。
  11. 死ぬのではないかと恐れる。
  12. 知覚異常(しびれ感、うずき感)。
  13. 寒気、またはほてり。

具体的なプログラム内容の狙い

 パニック障害に対する認知行動療法のねらいは、患者さんを取り巻く生活状況と身体感覚が、パニック発作とどのように関連しているのかを学び、発作をコントロールすることができるように援助することです。そのための具体的なプログラム内容をまとめると、次のような点になります。

  1. ① 患者さんが抱えている問題を、客観的に理解することができるように、問題点を整理し、自己理解をはかる。
  2. ② 症状、とりわけ予期不安と回避行動がどのように獲得され、維持されているかを学ぶ。
  3. ③ 適切な振る舞いをどのようにすると身につけることが出来るかを学ぶ。つまり、回避している場面や状況に身を曝す(エクスポージャー)ことによって不安を消去するとともに、そのような場面に安全に対処することを学ぶ。
  4. ④ リラクゼーションや拮抗動作法など、不安に対処することができる具体的な対処方法を学ぶ。
  5. ⑤ 患者さん特有の認知の修正をはかる。つまり、多くの普通の人に起きている出来事を「危険で最悪の事態である」という誤った考え方や、不安を生じさせる原因となっている「考え方のスタイル」を明らかにし、修正することができるように援助する。
  6. ⑥ しばしばパニック発作の引き金となっている「過呼吸状態」を予防する練習をする。また、「死にそうだ」という危険信号となる考え方を、「ちょっと過呼吸になっているだけで、対処できる」という適切な考え方に置き換えることができるように練習をする。
  7. ⑦ 将来起こりうる問題に対しても、適切な対処が自分で出来るように自身の向上をはかり、セルフコントロールをめざす。

 認知行動療法の実際にあたっては、まず心理教育が行われます。パニック発作や予期不安、広場恐怖が起こるしくみを理解することから始めます。また、認知行動療法の意義についても、正しい理解が得られるような説明が行われます。次に患者さんは、毎日の自分の状態を観察し、パニック発作の起こる頻度や症状などを記録していきます。これによって、どんな刺激があるときに発作が起こるのか、自分は何を回避しているのか、客観的に見ることができます。さらに、物事に過敏に反応しないように、呼吸法や自律訓練法などの訓練を受けたりします。その後、自分の身体感覚に対する認知に誤りがないか、治療者とよく検討して認知を再構築します。そして最後に、実際に恐れている状況に曝されることによって、誤った学習を修正していきます。

《認知行動療法の一般的な手順》

  • ① 心理教育を受ける。
  • ② パニック症状を観察して記録する。
  • ③ 呼吸法や自律訓練法など、リラクゼーション法の訓練を受ける。
  • ④ 身体的感覚の誤った解釈を是正し、認知を再構築する。
  • ⑤ 恐れいている状況に曝されることによって、恐怖感や不安感を取り除く。

【パニック障害に対する認知行動療法の構成要素】

●患者さんの自己理解と疾患そのものの客観的理解を促進し、治療への動機づけをはかるための心理教育。

【不安に関する認知行動的心理教育】

  1. パニック発作および不安を感じたときの一般的な変化(不安の継時的変化)を理解する。
  2. 不安を感じたとき、どのような変化が起きているかを理解する。(不安の3要素である「心理的反応」「身体的反応」「行動的反応」について)
  3. 回避行動の獲得と維持(安全確保行動)の仕組みを理解する。
  4. 予期不安の発生の仕組みを理解する。

【予期不安の低減と回避行動の消去に関する認知行動的心理教育】

  1. 不安階層表の作成を通して不安の構造を理解する。
  2. エクスポージャーの原理を理解する。
  3. 認知を修正することの意義について理解する。
  4. 逆制止法の原理を理解する。
  5. 新しい対処行動を獲得する必要性について理解する。

●不安を自己管理し、適応した対処行動の獲得をねらった治療コンポーネント。

【身体反応のコントロール法の練習】

  1. リラクゼーション法の導入。
  2. 拮抗動作法の導入。

【行動と認知の修正(不安管理訓練と対処行動の獲得)】

  1. 問題点の整理。
  2. 認知的再体制化法。
  3. 破局的な考え方の修正。
  4. 自己教示法。
  5. 思考中断法。
  6. 選択的注意の振り分け方の練習。
  7. 自己効力感の増大。

●予期不安の低減と広場恐怖(回避行動)の消去の核となる治療コンポーネント。

【エクスポージャー法の導入と回避行動の消去】

  1. 段階的エクスポージャー。
  2. フラッディング法。
  3. ホームワーク・エクスポージャー。
  4. 自己強化法。

段階的にクリアしていくエクスポージャー

 エクスポージャー(exposure)とは、曝露するという意味です。あえて恐れている状況に段階的に身を曝すことによって、その刺激に慣れさせていき、恐怖心や不安感を取り除いていく治療法のことで、「曝露療法」ともいわれます。エクスポージャーの有効性については、治療を受けたパニック障害の患者さんの89%において発作が消失したという報告もあり、薬物療法と同等の効果があることがわかっています。

エクスポージャー法には、「想像エクスポージャー」と「現実エクスポージャー」の2種類があります。想像エクスポージャーは、系統的脱感作法ともいい、不安を感じる場面を思い浮かべて、それを言葉で表現し、そのイメージに慣れる訓練です。録音して繰り返し聞くようにしますが、一種のイメージトレーニングともいえます。一方、現実エクスポージャーは実際にその場所に行く方法です。人前に出たり、電車に乗ったりして、不安な場面に物理的に身を曝し、その場に慣れることによって不安や恐怖を軽減していきます。また、アレンジした方法として、「内受容性エクスポージャー」があります。これは、深呼吸や足踏みジョギングなどの運動をして、意図的に動悸や息切れ、めまいを起こす「疑似パニック発作」を誘発させ、その感覚に慣れていく方法です。

エクスポージャー法では、不安場面にあえて直面したとき、不安や恐怖は一時的に強くなりますが、最終的には安全な状態に落ち着いてきます。不安な場面に慣れることによって、同じ場面に直面しても不安や恐怖感が軽減し、少しずつ自信がついてきます。エクスポージャーは、いきなり行うと苦痛が強すぎますので、治療計画にもとづいて慎重に進める必要があります。そのためには、まず「不安階層表」を作成してもらいます。患者さんに不安に感じる場所や状況をすべてリストアップしてもらい、不安の程度の強いものから弱いものへと順に並び替えてもらいます。その際、最も強い不安を感じる場面を100点とし、不安を感じない状態を0点として、書き出したすべての場面に対して評点(この点数を自覚的障害単位:SUDという)します。

実施においては、一般的に不安の少ない場面からトライしていきます。何日か行い、不安の弱い場面に慣れ不安がなくなってきたら、次のステップにチャレンジします。不安な状況であっても、回避行動をとらなくなったら少し段階を上げていき、少し上の強い不安に立ち向かいます。こうして、一つずつ段階を上げていき、最後はもっとも恐れている場面に向き合っても、たいていの不安や恐怖にも対処できるようになっていきます。

一例を挙げれば、電車に乗るのが不安で恐怖を感じる場合、初めは不安の弱い「プラットホームに立ってみる」、それが慣れてきたら「各駅電車に一駅乗ってみる」、不安を感じなくなったら次は「二駅、三駅と距離や時間をのばして乗ってみる」、各駅電車に乗っても不安がなくなったら次は「急行電車で一区間乗ってみる」…、こうして段階的に進めていきます。エクスポージャーでは、一度不安が高まったり発作が起きたりした後、その状態が一定のところまで軽減するまでに、最低1時間から最大2時間を要します。この全過程を体験する必要がありますので、練習のためには最低でも1時間は乗車しなければなりません。つまりエクスポージャーでは、発作が起こる体験をしなければ、本当の効果が出ることにはならないことを意味しています。

いずれにしても、決して焦らないことです。一つひとつ着実にクリアしていくことが重要で、いきなり高い目標に飛びつくと、逆効果となって危険です。SUDの高い場面に向き合うときは、家族や配偶者、パートナー、友人などの支えが力になることがあります。

【不安階層表の一例】

不安を感じる場所や状況 SUD
・飛行機に乗る。 100
・高速道路での運転。 90
・1人で電車に乗って遠出する。 90
・1人で特急電車に乗る。 80
・1人で映画を観る。 70
・地下鉄電車に乗る。 60
・1人で各駅電車に乗る。 50
・ラッシュ時の満員電車に乗る。 50
・車の運転中、渋滞に巻き込まれる。 40
・高層ビルのエレベーターに乗る。 30
・理髪店(美容院)に行く。 20
・歯医者に行く。 20
・プラットホームに立つ。 10
・自宅で夕食後くつろいでいる。 0

 エクスポージャーは、患者さんにとっては恐怖を感じる状況に立ち向かわなければならないので、非常に強い苦痛を伴います。無理をして高い目標をかかげ、不安や恐怖に立ち向かうと、逆に不安を増大させることになり、ますます自信を失って症状が悪化してしまうことがあります。医師や治療者の指導のもとに、一歩ずつ確実にステップアップしていくことが大切です。体調の悪い日などは、認知行動療法を休むことも必要です。強行すると、発作が起きやすく、せっかく積み重ねてきた成功体験が水の泡になってしまいます。あせらず、発作が起こらないことを繰り返し確認しながら進めていきます。また、ひとつの目標をクリアすることができたときは、「不安を克服できた」という達成感と自信がわいてきます。この感覚が、エクスポージャーでは非常に大切です。本来エクスポージャーはストレスのかかる治療法ですので、目標をクリアするごとに自分に“ご褒美”をあげるのも良いでしょう。途中で止めてしまったら、元の木阿弥です。自分を励ましながら、喜びをかみしめながら進めることです。

この段階的に刺激に慣れていくエクスポージャーに対して、フラッディングという手法があります。これは、集中的に刺激にさらす方法で、かなり荒治療になります。耐えられない場合は、逆効果になりますので注意が必要です。

《注意点》

◇ 無理をしないで、一段ずつ確実にクリアしていく。
◇ 体調の悪い日は、治療を休む。
◇ 発作が起こらなかったことを、その都度確認しながら進める。

《副作用》

◇ 最初、一時的に不安が増大することがある。
◇ 患者さんが治療者に依存してしまうことがある。
◇ 刺激に耐えられず、ドロップアウトした場合は症状がさらに悪化する。

補助的方法・1〈自律訓練法〉

 自律訓練法は、ドイツの精神科医シュルツが考案したリラックス法で、6つの公式と呼ばれる暗示をかけ、自分でリラックス状態を作り出すものです。この訓練法は、比較的短期間で習得可能なうえ、リラックス効果が高く、心身の安定に役立つことから、精神疾患の治療に用いられるほか、スポーツ選手がメンタルトレーニングに活用したり、会社が社員のメンタルヘルスの一環として取り入れたりするなど、さまざまな現場で広く利用されています。パニック障害では、薬物療法や認知行動療法と併用することで、予期不安や広場恐怖の解消に大きな効果をあげています。

自律訓練法を行うとアルファー(α)波が増え、皮膚温が上昇します。血圧が安定して血行がよくなり、心身の緊張がほぐれます。胃腸の働きも正常に保ちます。

《自律訓練法の効果》

  • ① 精神が安定します。
  • ② 血行が増進されます。
  • ③ 抗ストレス効果があります。
  • ④ 集中力がアップします。
  • ⑤ 疲労が回復します。
  • ⑥ イライラが解消します。
  • ⑦ 消化器・循環器・呼吸器のトラブルを緩和します。
  • ⑧ 自己管理能力がアップします。

 自律訓練法は、初めは集中するのが難しく、すぐに手足の重さや温かさを感じられないかもしれません。うまくいかないからといって諦めないで、少しずつ繰り返し練習していけば、コツがわかってきます。それまで少し時間がかかります。最初始めるときは、専門家の指導を受けるのが望ましいです。場所も初めは集中できるように、静かな場所で行うと良いでしょう。慣れてきたら、いつでもどこでも出来るように、いろいろな場所で訓練します。

では、実際の自律訓練法はどのような手順で行うのでしょうか。まず、始める前に衣類やベルトをゆるめ、時計やアクセサリーなど身につけているものははずして、仰向けに寝るか椅子に座って行います。仰向けに寝る場合は、全身の力を抜いて両足を軽く開き、手や腕は自然に伸ばします。座った場合は、深く腰を掛け、足は床につけて軽く開きます。手は太ももの上に軽く置きます。軽く目を閉じ、ゆっくり複式呼吸をしながら、「気持ちがとても落ち着いている」と暗示をかけます。

次に6つの公式を、第一公式から順に行っていきます。第一公式は重感公式といって「両手両足が重たい」という暗示ですので、利き腕が右手だったら「右手が重たい」「左手が重たい」「右足が重たい」「左足が重たい」という順番に暗示をかけていきます。第一がマスターできたら、次に第二公式の温感公式です。同様に、「右手が温かい」「左手が温かい」「右足が温かい」「左足が温かい」と、ゆっくり心の中で暗示をかけていきます。こうして、第三、第四、第五、第六公式まで行います。自律訓練法では六つの公式の中でも、特に大切なのは「重感公式」と「温感公式」の二つで、この二つだけでもマスターしておけば、十分に効果を上げることができます。1回の訓練は約5分程度で、1日2~3回を毎日行います。

《自律訓練法の6つの公式》

  1. 第1公式:重感公式「両手両足が重たい」
  2. 第2公式:温感公式「両手両足が温かい」
  3. 第3公式:心臓調整公式「心臓が規則正しく打っている」
  4. 第4公式:呼吸調整公式「楽に呼吸している」
  5. 第5公式:腹部温感公式「お腹が温かい」
  6. 第6公式:額部冷感公式「額が気持ちよく涼しい」

 注意点としては、自己暗示をかけたとき、意識的に感じようとしないことです。たとえば、「右手が重い」と暗示をかけたとき、意識して重たくしようとしないことです。あくまでも、自然に重たく感じられるようになるのを待ちます。また、食後すぐに行うことや空腹時は避けるようにします。訓練が終わった後は、リラックスしてボーッとなっている状態から心身を目覚めさせる必要がありますので、消去動作を必ずおこないます。消去動作をしないで、いきなり起き上がったりすると、ふらついたり転んだりすることがあって危険です。普段の活動レベルに戻すために、消去動作は必要です。

《消去動作の方法》

  1. 両手を、5~6回握ったり開いたりする。
  2. 両ひじを、2~3回上方に曲げたり伸ばしたりする。
  3. 大きく背伸びをして、ゆっくり目を開ける。

補助的方法・2〈リラクゼーション・トレーニング〉

 パニック障害のある人は、たいていの場合、緊張状態に置かれると発作を起こしやすい傾向にあります。普段から体が緊張していると、ちょっとした不安や恐怖でも、過呼吸から発作につながっていきます。したがって、緊張状態に陥らずに心身ともにリラックスすることができれば、パニック障害を改善することができることになり、この考え方に基づいた治療法が、リラクゼーション・トレーニングといわれるものです。すなわち、リラクゼーション・トレーニングとは、体をリラックスさせることで、不安やパニック発作の軽減を図ることができる行動療法の補助的方法です。繰り返し練習することで、よりリラックス出来るようになり、突発的な不安やパニック発作に備えます。リラクゼーション・トレーニング単独の治療反応率は56%との報告もあります。

では、自分の体は緊張していないだろうか? 緊張しているとすれば、体のどの部位あたりに緊張を感じるのか、知る必要があります。別表を使って、緊張している部位はどこか、どれくらい緊張しているかセルフチェックします。チェック期間は最低12日間行い、毎日同じ時間帯に記入しますが、出来れば夕食前に行うのがベストです。緊張の度合いは、0(なし)、1(低い)、2(中ぐらい)、3(高い)の数字で記入します。

【筋緊張の評価】

部位 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 9日目 10日目 11日目 12日目
目のまわり
あご
首の後ろ
首の脇
頭のてっぺん
背中
足の付け根
お尻
太もも
ふくらはぎ
上腕
前腕

《漸進的筋リラクゼーションと等尺性リラクゼーション》

 リラクゼーションの方法には、「漸進的筋リラクゼーション」と「等尺性リラクゼーション」の二つがあります。この二つのリラクゼーションは、それぞれ使う場所や使う目的が違います。漸進的筋リラクゼーションは、恐怖の対象にさらされる前に使う方法であるのに対し、等尺性リラクゼーションは恐怖の対象に直面している最中に用いる方法です。また、漸進的筋リラクゼーションはリラックスしていない状態からリラックスを得るための方法で、等尺性リラクゼーションはリラックスしている状態を維持するための方法です。 

漸進的筋リラクゼーション練習は、筋肉を順番にリラックスさせる方法です。額→目のまわり→あご→首→肩→背中→上腕→下腕→手→胸→腹→腰→太もも→尻→すね→足先、といった順番に、筋肉を緊張させたり緩めたり(弛緩)させることを繰り返すトレーニングです。 

練習方法は、椅子に座って行います。できるだけ頭と肩をもたれさせてくれる座り心地のよい椅子を選びます。適当な椅子がない場合は、背中にクッションをあてて、そこにもたれたりします。仰向けになると眠ってしまうことがあり、眠ると効果がないので、仰向けになって練習はしないほうがよいです。練習の効果を長持ちさせるためには、毎日欠かさず練習する必要があります。

等尺性リラクゼーション練習は、自分が恐怖を感じた時に行うトレーニングです。等尺性という意味は、筋肉の長さが同じままということで、筋肉を緊張させるときも筋肉の長さは同じままなので、他人から見ると一見なにもしていないように見えます。等尺性リラクゼーションの練習で間違いやすいのは、緊張を入れるのが急ぎすぎたり、強すぎたりすることです。優しくゆったりした練習が等尺性リラクゼーションの特徴です。

練習の方法

足の筋肉をリラックスさせる練習 

  • 小さく息を吸い込み、7秒間息を止めます。
  • 息を止めている間は、くるぶしのところで足を交差させておき、下になっている足は、上になっている足を持ち上げるようにし、上の方の足は下の方の足を押さえつけるようにし、ゆっくりと両足の筋肉の緊張を高めます。あるいは、息を止めている間に、くるぶしで両足をからめさせておきます。そして2本の足を反対方向に横に引っ張り合うようにして、ゆっくりと両足の筋肉の緊張を高めます。                       
  • 7秒たったら、ゆっくりと息を吐きながら「リラックスしよう」と自分に言い聞かせます。そして、ゆっくりと筋肉の緊張をゆるめていきます。
  • 緊張をゆるめたら目を閉じ、そのあと1分間は、息を吐くたびに「リラックスしよう」とつぶやきながら、緊張をゆるめた状態をそのまま続けておきます。

腕の筋肉をリラックスさせる練習

  • 小さく息を吸い込み、7秒間息を止めます。
  • 息を止めている間は、両手を向かい合わせにして重ね、膝の上におきます。そして、下の方の手は上の方の手を持ち上げるようにし、上の方の手は下の方の手を抑えるようにし、ゆっくりと両手や両腕の筋肉の緊張を高めます。あるいは、息を止めながら、座ったまま椅子の下側に手を差し入れ、椅子を持ち上げるようにします。または、椅子の後ろ側で手を組んで、両手を引っ張り合いながら、椅子の背にその手を押し当てるようにします。あるいはまた、息を止めながら、座ったまま首の後ろで両手を組み合わせます。そして、頭を後ろに押し付けながら、両手を引っ張り合います。
  • 7秒たったら、ゆっくりと息を吐きながら「リラックスしよう」と自分に言い聞かせます。そして、ゆっくりと筋肉の緊張をゆるめていきます。
  • 緊張をゆるめたら目を閉じ、そのあと1分間は、息を吐くたびに「リラックスしよう」とつぶやきながら、緊張をゆるめた状態をそのまま続けておきます。

以下同じ手順で、部位を変えて行う練習

  • 首をすくめて肩を上げながら筋肉の緊張を高め、肩を落としながら腕の筋肉の緊張をゆるめる。
  • 両方のこぶしをぐっと握りしめながら筋肉の緊張を高め、こぶしをひらいて、手のひらを上に向けて両手を膝の上におき、筋肉の緊張をゆるめる。
  • 足首を体側にぐっと曲げて筋肉の緊張を高め、足の甲を伸ばして筋肉の緊張をゆるめる。
  • 背筋をぐっと反らせて筋肉の緊張を高め、背中を丸めて脱力させ筋肉の緊張をゆるめる。
  • 両足の関節を、本来曲がる方とは逆に目いっぱい伸ばし筋肉の緊張を高め、足の関節をゆるめて筋肉の緊張をほぐす。
  • 体の後ろで手を組み合わせ、組んだ手を両方に引っ張り合って筋肉の緊張を高め、手の緊張をゆるめる。

 筋肉を緊張させて、緩めるバリエーションはいろいろ考えられますので、工夫して辛抱強く練習することが大切です。

《リラクゼーションの上達を速めるためのポイント》

  • 何回も、何回も繰り返して練習する。
  • 緊張が高まっているなと感じたら、いつでもすぐにリラクゼーションの練習をする。
  • 緊張に対しては、リラクゼーションで反応するという習慣をつける。
  • 練習を重ねれば、人が見て分かるような運動をしなくても、手足の筋肉の緊張を高めたり緩めたりすることができる。また人前で気づかれないように練習することは、緊張をゆっくり高め、ゆっくり緩めるコツをつかむのに適している。
  • 他人の前で、7秒間緊張を続けることが難しい場合は、少し短い時間でもよい。ただし、その場で何度か同じ練習を繰り返したほうが効果がある。
  • 苦しくなったり疲れたりするほど緊張させてはいけない。また、7秒以上緊張を続けるのもよくありません。
  • 職場での仕事中や、列をつくって並んでいるときなど、さまざまな場面で緊張が高まってきたときの練習方法をアレンジしておくことも必要。
  • 何週間か練習を続ければ、緊張が減って、緊張しにくくなる。自分で自分をコントロールできる感じが得られ、自信につながる。

補助的方法・3〈呼吸訓練〉

 パニック障害の患者さんに共通する特徴のひとつとして、呼吸が浅く、不規則であるという点です。発作の際、ほとんどの場合で息が切れる、うまく呼吸ができない、という症状がみられることから、パニック発作と呼吸は深く関係していることは確かです。そこで、呼吸を強化し、改善する方法として考え出されたのが呼吸訓練で、行動療法の補助的方法として用いられています。呼吸が浅く、不規則な呼吸をしていると、体内の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れやすくなり、パニック発作の身体症状がますます現れやすくなります。したがって、呼吸を改善することは、パニック発作の治療においては、非常に有効な方法となります。

まず、自分が呼吸を1分間に何回するか測ってみます。息を吸って吐き終わるまでを1回とし、時計を見ながら1分間に、何回呼吸をするかを数えます。意識的に呼吸を速くしたり、遅くしたりしてはいけません。治療プログラムの一環として、1分間の呼吸を1日に何回かおこなって記録していきます。

【呼吸記録表】

  午前8時 正午 午後6時 午後10時
日付 練習前 練習後 練習前 練習後 練習前 練習後 練習前 練習後
                 
                 
                 

《呼吸訓練の技法》

 これは、不安やパニックの最初の徴候が現れたら、まず最初に用いる技法です。過呼吸かなと思ったら、すぐに次の方法を実践してみてください。

  • やりかけていることをやめて、腰をおろすか、何かにもたれかかります。
  • 息を止めて、10数えます。(このとき深く息を吸わないこと)
  • 10まで数えたら、息を吐きます。そして静かに、ゆっくりと、「リラックスしよう」「落ち着こう」と自分に言い聞かせます。鼻を通して息をすることを忘れないことです。
  • 6秒に1回の速さで呼吸をします。つまり3秒間息を吐いて、3秒間息を吸います。これで、1分間に10回呼吸をすることになります。息を吐くたびに、「リラックスしよう」「落ち着いて」と自分に言い聞かせます。
  • 10回呼吸するたびに(1分ごとに)、10秒間息を止めて、それからまた6秒に1回の呼吸を続けます。
  • 過呼吸の症状がすべて消失するまで、この呼吸を続けます。

『社交不安障害』の認知行動療法

回避行動の改善が目的

 社交不安障害の人にみられる典型的な行動パターンは、「回避行動」です。回避行動の背景には、その人なりの考え方があります。社交不安障害で悩む人は、その考え方(認知)自体に、偏りがあったり、強い思い込みがあったりする場合が多いです。この思い込み、つまり認知の偏りこそが、回避行動を生み出すもとになっていることが、これまでの研究で明らかになっています。社交不安障害の人の場合、思い込み(認知)がどのようにして行動パターンを生み出していくか、一つの例として以下のようなものがあります。

① 「自分はうまくいかないに決まっている」(思い込み)
↓ 
② 「自分はうまくいくわけがないから、挑戦しない」(行動パターン)

① 「自分の恥ずかしい振る舞いを見て、他人は自分を見てバカだと思うだろう」(思い込み)
↓ 
② 「バカにされたくないから、人前に立つことは避けよう」(行動パターン)

不安に対処する方法を学ぶ

 社交不安障害の治療として注目されている認知行動療法は、問題行動を生むもとになっている思い込みを修正し、そのうえで新たな行動パターンを獲得することを目的に進められる治療法です。誰でも、不安に苦しむ自分を変えたいと思っています。しかし、誰かが変えてくれる訳ではありません。自分を変えられるのは、自分自身しかいないことをまず自覚することが大切です。どんな薬であっても、どんな医師であっても、どんなカウンセラーであっても、その人がどう行動し、どう感じるかまではコントロールできないのです。認知行動療法の技法は、自分を変えたいと思う人にとっては、強い見方になってくれますので、焦らず一つひとつステップを踏んで学んでいく必要があります。初めは、専門的な指導者のもとで治療法を学び、その考え方や進め方を習得すれば、あとは自分なりに生活の中で実践していくことは可能です。

《社交不安に立ち向かう4つの方法》

① 認知修正法(認知再構成法)
社交不安障害みられる回避の行動を生み出している「考え方のクセ」、行動の前提となる「認知の偏りや思い込み」などに気づき、その誤った認知を修正する方法です。(詳しくは後述)

② エクスポージャー(曝露療法)
あえて苦手な状況に身を曝すことによって、不安や恐怖に慣れていくための方法です。(詳しくは後述)

③ ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)
人間関係を円滑なものにするための社交術を学ぶことによって、対人不安の軽減をはかる方法です。(詳しくは後述)

④ リラクゼーション(筋弛緩法、呼吸法)
呼吸法や筋肉を弛緩させたりすることによって、心のリラックスをはかると共に、不安への対応力を高めるために、生活習慣全体を見直すことも行います。(詳しくは後述)

《認知行動療法を始める前の手順》

1. 心理教育
治療を始めるに当たって、まず治療者から、認知行動療法とはどのようなものか、またどのような効果が得られるのか、などについての説明があります。これを理解しておくことで、治療にスムーズに入りやすくなります。

2. 初期評価(アセスメント)
どのような状況の時に、どの程度の不安を感じるのか、不安の程度をはかる検査を初めに行います。

3. 治療計画
治療者と患者が話し合ったうえで、治療の目標を定め、症状に合った治療計画を立てます。

4. 治療の実施
治療の実施にあたっては、期間や回数、時間についてきめますが、医療機関によってさまざまです。

《大事なホームワークとセルフモニタリング》

ホームワーク(宿題)
 治療者のもとで学んだ技法を、宿題として出されることがあります。認知行動療法の考え方や行動を、自分一人で、実生活の中で生かすことによって自信がつき、治療効果を上げることができます。  

セルフモニタリング(自己観察)
 ホームワークを行ったときの自分の状態や結果、また苦手な場面にあって感じたことなどをシート(記録用紙)に記録していきます。セルフモニタリングは、治療による自分の変化を確認する作業であり、認知行動療法を進めていくうえで基本となるデータになります。

認知修正法

一度、立ち止まって考える

 社交不安障害に悩む人には、きまって「考え方のクセ」があります。思い込みともいえるそのクセが、不安な感情を呼び起こし、回避行動を生み出しているのです。ある場面に対して不安な感情が起こるのは、その場面や出来事に原因があるのではなくて、その人がその場面や出来事をどのように受け止めるか、つまりその人の認知の仕方に原因があると考えられます。

例えば、「人前で上がったら、人はみな私のことを変な人だと思うだろう」と考えたとします。そのように考える背景には、「私は、人前でうまくやらなくてはいけない」「人に好かれなければ、私には価値がない」という思い込みがあります。そう考えただけで、緊張し不安になります。「その不安な様子を相手に見せたら、私は嫌われてしまう」と思うと、さらに緊張と不安が高まります。そして、顔が赤面し、口元がこわばり、額から汗が出てくると、緊張と不安と動揺がいっそう高められて、ついには「私は、変な人だと思われている」と考え、「私はダメな人間だ」と決めつけてしまいます。

この思考パターンは、本当に正しいのでしょうか?一度立ち止まって考えてみる必要があります。「もしかしたら、みんなは私にそれほど関心をもっていないのではないか」「他の人でも緊張することがあるので、少しぐらい上がっても変な人だとは思わないかもしれない」と考えることができれば、クセになっていた誤りに気づくことができるかもしれません。つまり、他人からみた自分へのイメージと、自分が考えている自分へのイメージに、大きなズレがあるということです。このズレが、認知の誤りとなって、考え方のクセになったり、思い込みになったりしているのです。

社交不安障害の人に多い思考パターン

 自分のいつもの考え方を、一度検証してみる必要があります。そこには、独特な考え方のパターンがあることに気づきます。社交不安障害の人に多い思考のパターンをまとめると、以下のような項目にまとめられます。

① 全か無かの考え(オール・オア・ナッシング)
物事を両極端に考えて、全か無か、白か黒か、すべてOKかすべてダメかをつけたがるクセがあります。ちょっとでもミスしたり、良くないことがあると、「すべて失敗だ」と考え悲観的になります。

② 長所の過小評価
うまくいったことでも、「こんなことはたいしたことではない」と過小評価します。

③ 短所の過大評価
自分が思い通りにならなかったことや、他人のちょっとした反応を過大に評価し、思い詰めてしまう傾向です。

④ 「~すべき」思考
「自分はこうすべきだった」と自分の行動を自分で制限し、少しでもその基準から外れると「自分は価値のない人間だ」と自分を責めてしまいます。いつも完璧を求める思考です。

⑤ レッテル貼り
「自分はダメな人間だ」「私は嫌われ者だ」と、すぐに自分で自分に否定的なラベルを貼り、それを繰り返しイメージすることで、さらに悲しい気持ちになっていきます。

⑥ マイナス化思考
やってみないとわからない場合でも、「うまくいくわけがない」とマイナスに考えます。また、うまくいったことや自分の長所があるのに、失敗したことや自分の欠点、また苦手なことばかりを考え、否定的にとらえます。

⑦ 結論の飛躍
たとえば「私が話している時に、相手が笑ってくれなかったのは、私を嫌っているからだ」と、確かめずに、また根拠もないのに信じ込んで、結論をだす場合です。

⑧ 過剰な自意識
他人の目が常に自分に集中しているように感じたり、自分の行為が他人にいつも不快感を与えたりしていると思い込んでしまうことです。

⑨ 感情的な決めつけ
その時の自分の感情だけで、その場の状況を判断し、決めつけてしまうことです。

思考のクセに気づいたら、別の考え方をしてみる

 思い込みが強くなればなるほど、不安感や身体症状が増してきます。思い込み、つまり認知の偏りを修正することは、この悪循環を断ち切ることになります。頭にすぐに浮かんでくる思いにとらわれそうになった時は、ひと呼吸おいて「他の見方はできないものか」と自分で自分に問いかけてみることが大切です。どんな事柄でも、視点をかえれば別の局面が見えてきます。

  • 自分の考えに、しっかりした根拠があるのか?
  • 別の考え方、見方はできないものか?
  • 恐れている事態が起きたからといって、何か大きな影響や変化があるのだろうか?このようにして自分に問いかけてから、別の考え方をしてみます。今までクセになっていた考え方(自動思考)以外の答えを探してみるのです。視点をひろくして、さまざまな角度から、できるだけプラス思考で、前向きに考えてみるのです。すると、次のような新たな視点が浮かんできます。
  • 全か無かではなく、その中間もある。白や黒だけではなく、灰色もある。
  • 今はうまくいかなかったにしても、次回は状況も変化して、うまくいくかもしれない。
  • うまくいかなかったことばかりではなく、うまくいった時もあった。
  • 否定的なことばかりが起こると決まったわけじゃない。
  • どういう結果が出るか、やってみないとわからない。
  • 「~すべきだ」なんて、誰が決めたの?
  • 人は他人のことに、それほど関心をもっていない。

認知を修正する技法

 では、「ありのままの現実」と、心の中につくられた「思い込みの現実」とのズレをどのようにして現実的なものへ修正していくか、それにはいくつかの技法があります。ただし、修正方法については、医療機関や治療者によって異なり、さまざまな手法が用いられます。

1. 治療者との対話
治療者と患者さんが一対一で対話し、問答をしながら、考え方のクセや思い込み、またいつもしてしまう思考のパターンに気づき、それが現実に即しているかどうかを検証していきます。記入用のシートを使って行う場合もあります。

2. ビデオモニタリング
実際の会話の場面などをビデオに撮影し、それを客観的に見ながら、現実の自分と相手の反応を確認します。

3. 行動実験
たとえば、レストランなどで実際に食べ物を落として、本当に周りの人がみんな自分に注目するかどうか、確かめる方法です。

4. ロールプレイ
グループで役割を演じ、他の人の反応が、自分が思い込んでいる通りかどうかを検証します。

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