ミダゾラム(商品名:ドルミカム/ミダフレッサ/ブコラム)column

ミダゾラム(商品名:ドルミカム/ミダフレッサ/ブコラム)

この記事のもくじ

ミダゾラム(商品名:ドルミカム/ミダフレッサ/ブコラム)とは

ミダゾラムは1975年にアメリカのロシュ社で合成されたベンゾジアゼピン系のお薬で、日本では1988年から販売されています。ベンゾジアゼピン系には多くの種類のお薬があり、それぞれ作用時間や作用の強さは異なりますが、基本的には催眠作用、鎮静作用、抗不安作用の3つの作用を有します。

ベンゾジアゼピン系に該当するお薬の中でも、ミダゾラムは他のベンゾジアゼピン系とは異なる点がいくつかあります。一般的にベンゾジアゼピン系のお薬は錠剤タイプですが、ミダゾラムは注射用液や口腔用液といった液体タイプになります。

ミダゾラムは効き目成分の名前で、ミダゾラムという成分を含む「ドルミカム」、「ミダフレッサ」、「ブコラム」という3つのお薬が現在販売されています。これらは対象とする病気が異なり、その病気に対する効果を十分に発揮させるため最適な量のミダゾラムを含んでいます。ドルミカムのみジェネリック医薬品が販売されており、その場合は名前にミダゾラムがつきます。

1988年に販売されたドルミカムは注射用液で、麻酔前や全身麻酔の導入等を目的として使用されます。その後、2014年に販売されたミダフレッサは、てんかん(脳が一時的に過剰に興奮してけいれんや意識消失を引き起こす発作症状)に対して使用され、この発作症状がすぐには収まらずしばらく続いてしまう場合ミダフレッサを血管内に注射します。2020年に販売されたブコラムというお薬もてんかん発作に対して使用し、ミダフレッサ同様に発作症状が治まらない場合に使用します。ブコラムは口腔用液といって、注射ではなく口の中に液を注入し、口の粘膜から吸収を図るお薬になります。

ミダゾラムが他のベンゾジアゼピン系とお薬のタイプが異なる理由は、体内での分解されやすさによります。錠剤タイプの場合、お薬は消化管から吸収されます。この場合、最初に必ず肝臓を通ります。肝臓はお薬を分解する働きがあり、ミダゾラムはこの時に大部分が分解されてしまうため錠剤タイプとしては開発できませんでした。注射液や口腔用液の場合は、肝臓を通らずに最初から全身を巡ることができるため迅速にかつ効率的に作用を発現させることができるメリットがあります。

ミダゾラムの作用について

現在販売されているミダゾラムについてそれぞれの効能効果は以下の通りです。

  • ドルミカム
    • 麻酔前投薬
    • 全身麻酔の導入及び維持
    • 集中治療における人工呼吸中の鎮静
    • 歯科・ 口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静
  • ミダフレッサ:てんかん重積状態※
  • ブコラム:てんかん重積状態※(18歳未満に対して使用する)

※てんかん重積状態:脳が一時的に異常に興奮し、けいれんや意識消失を生じる発作症状のことで、通常この発作は数分程度で自然に消失します。しかし、発作が治まらず長引いたり、けいれんは収まっても意識がもどらないまま再びけいれんを引き起こすなどの場合をてんかん重積状態と言います。

ミダゾラムの投与方法について

3つのお薬にはそれぞれ以下の用量が販売されています。

  • ドルミカム:10mg注射液(2ml管中)
  • ミダフレッサ:10mg注射液(10mlバイアル中)
  • ブコラム:
    • 5mg口腔用液
    • 0mg口腔用液
    • 5㎎口腔用液
    • 10㎎口腔用液

これらのお薬を患者さんの年齢や体重、症状をもとに医師が投与量を決めて投与していきます。例えば、ドルミカムにおいては麻酔前投与や麻酔の導入や維持といった多くの効能効果を有します。麻酔前投与の場合、患者さんの体重に応じて投与量が設定され体重1kgあたり0.08~0.1mgのミダゾラムを注射します(50㎏の体重の患者さんであれば4mg~5mgのドルミカムを注射します)。このようにそれぞれの効能によって細かく投与量が決められていますが、これは既に書いた通り注射の場合、最初に肝臓を通らずに直接全身を巡ることになるため、効果発現が早い一方、十分に投与量を管理しなければ副作用の危険性が高いことから細かく設定されています。

ブコラムについては、0歳~18歳未満の患者さんの保護者もしくは保護者に代わる適切な方に使用してもらうことが可能です。てんかんの発作状態がしばらく続いた場合に使用ますが、どの程度続いたら使用すべきか予め医師と相談が必要です(一般的には発作が5分程度続いたら使用することが多いです)。

ミダゾラムの注意点について

 ミダゾラムは錠剤タイプではなく注射や口腔用液として使用されます。そのため、作用発現まで速やかですが、その分副作用にも注意が必要です。特にブコラムは、病院内での使用だけでなく自宅や出先で保護者が投与することも多いお薬です。そのため事前に医療スタッフより使い方を十分に確認しておく必要があります。

ブコラムの臨床試験期間中に見られた副作用では、嘔吐や下痢といった胃腸障害、傾眠以外に、呼吸抑制といった重大な副作用も見られています。原則としてブコラムの投与後には、救急搬送の手配をし、再びてんかん発作が生じた場合でもブコラムを追加で使用してはいけません。呼吸抑制などの重大な副作用が出ていないかなど患者さんの状態を注意深く観察してください。

服用できない/注意が必要な患者さん

ミダゾラムだけではなくベンゾジアゼピン系は一般的に重症筋無力症や緑内障の方には使用することができません。また、一緒に使用すると効果が強く出てしまったり副作用が出てしまったりするお薬があるため、現在服用しているお薬は全て医師・薬剤師に伝えるようにしてください。その他、お薬だけではなくグレープフルーツジュースはミダゾラムの効果を強めてしまう可能性があるため、使用期間中は控えるようにしてください。