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エスシタロプラム(商品名:レクサプロ)について

エスシタロプラム(商品名:レクサプロ)について

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エスシタロプラム(商品名:レクサプロ)とは

 エスシタロプラムはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)に分類される抗うつ薬で「レクサプロ」という商品名で販売されています。ジェネリック医薬品も多く販売されており、その場合は名前に「エスシタロプラム」とつきます(以降「エスシタロプラム」にて統一します)。

 エスシタロプラムはデンマークで開発された抗うつ薬です。2001年にスウェーデンで初めて承認され、その後ヨーロッパ全土に広まり、日本でも2011年に「うつ病・うつ状態」の効能・効果で承認されています。2014年12月末までに、米国、英国、カナダ、オーストラリアなど世界98の国と地域で使用され、約3億5千万人以上に対して投与されたと推定されています。

 古くから使われてきた三環系や四環系といわれるタイプの抗うつ薬は強力な効果がある反面、副作用も強いため使いどころが難しいお薬でした。しかしエスシタロプラムは副作用を起こす頻度が低く、それでいて治療効果も三環系や四環系と同程度なので患者さんにとって使いやすく、継続しやすいお薬になっています。飲み始めてすぐに効果はあらわれませんが、飲み続けると徐々に脳内で作用を発揮し、抑うつ気分や不安をやわらげてくれます。

 

エスシタロプラムの作用について

 エスシタロプラムは2011年にうつ病・うつ状態に適応を取得し、2015年に社交不安障害も取得しています。スウェーデンでは2010年に女性の月経前不快気分障害(PMDD)の適応も取得しています。

 うつ病のメカニズムはまだ完全に解明されていませんが、脳内の神経間で情報伝達を行っているセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が関与していることがわかっています。細胞から細胞にバケツリレーのように神経伝達物質をやりとりして情報を伝えています。しかし、うつ病の患者さんはこの神経伝達物質が減少してしまい、情報がスムーズに伝わらなくなっています。セロトニンやノルアドレナリンは意欲や活力を伝える働きをしているため、うつ病の症状があらわれます。

エスシタロプラムは脳内においてセロトニン神経系に選択的に作用するお薬です。セロトニンが取り込まれる入口に蓋をし、脳内のセロトニン濃度を高めることで抗うつ作用をあらわします。このような作用から、選択的セロトニン再取り込み阻害剤といわれています。

不安感の調節や意欲に働きかけるセロトニンが増すことで、人から注目される場面で強い不安を感じて仕事や学校生活といった社会生活を円滑に送れない社交不安障害も改善されます。

 

エスシタロプラムの服用方法について

エスシタロプラムの服用方法については以下の通りです。

1回10mgを1日1回夕食後に服用します。年齢・症状により適宜増減しますが、増量は1週間以上の間隔をあけて行い、1日最高用量は20mgまでとされています。

エスシタロプラムの注意点について

社会不安障害の効能・効果が承認されるまでの国内臨床試験において、1,099例中717例(65.2%)に副作用が認められました。その主なものは以下の通りです。

  • 全身症状
    • 倦怠感:5%以上
  • 精神神経系
    • 傾眠(眠気):6%
    • 浮動性めまい(体がふわふわする感じ)、頭痛:5%以上
  • 消化器
    • 悪心(嘔吐前のむかつき):7%
    • 口渇(口の渇き):5%以上

また、うつ病により気持ちが不安定な状態でエスシタロプラムなどの抗うつ薬を飲むと、死にたいと考える自殺念慮や、実際に自殺を企てる自殺企図のリスクが逆に高くなることがあるといわれています。特に飲みはじめや飲む量を変更した時に、不安感などの症状が悪化することがあります。24歳以下の患者ではリスクが増加しやすいといわれているので注意が必要です。

急に使用を中止した場合にも、不安になる、イライラする、あせる、興奮しやすくなる、めまい、感覚の異常、頭痛、吐き気などの症状があらわれることがあります。エスシタロプラムの使用を中止する場合は、時間をかけて、少しずつ量を減らしていきます。

 

服用できない/注意が必要な患者さん

以下の患者さんはエスシタロプラムを服用することができません。

  • モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後14日間以内の方

 

MAO阻害剤といわれるモノアミン酸化酵素阻害剤とエスシタロプラムを一緒に服用すると、脳内のセロトニン濃度が異常に高くなってしまう可能性があり、副作用が強く出てしまう恐れがあるため併用できません。

また、エスシタロプラムを服用することで心臓疾患を悪化させる可能性があります。心不全や不整脈を有する患者さんは病状によっては服用することができません。

これら以外にも併用するには注意が必要なお薬がいくつかあります。現在エスシタロプラム以外に服用しているお薬がある場合は医師・薬剤師に相談してください。また、妊娠中の方や授乳中の方は胎児や母乳中へエスシタロプラムが移行することがわかっているため服用の必要性を確認するようにしてください。