認知行動療法32

統合失調症/Schizophrenia
第3段階の治療

 第3段階の治療目標は、これまでの治療によって得られた改善の維持と、将来再発する可能性に対処するための準備をします。2週間に1回、6週間にわたって実施されます。

17~19回目の面接

 改善の維持のために、患者さんはこれまでの治療で学んだ技能を繰り返し使うようにします。規則正しい食生活習慣を継続しながら、過食や嘔吐をしない状態を持続します。また、問題解決法や認知再構成法を自ら実施するようにします。食生活日誌は、摂食行動に対して完全にコントロールできるまで続けます。空腹感や満腹感が戻って食行動がコントロールでき、決してダイエットをしない状態になれば、日誌は中止します。  次に将来、再発の問題に直面したときの準備です。ストレスの状態で、過食が再発しても、それに対処する技能を学習してきたので、それを使って、翌日から正常な食生活に戻れば、再発ではないことを確認します。再発とは、翌日から毎日連続して過食し嘔吐する生活のことです。過食がなぜ生じたのか、それをいかに防げたのかを考えることが、再発防止にもなります。再発の危険があるとき、また摂食行動が悪化しそうなときは、再発に関係している事柄を見つけ、それを解決するための具体的な計画を立てるようにします。

【再発予防法】

1. 直面している問題を冷静にみつめ、それに対処する計画を立てる。
2. 食生活日誌を再開する。
3. 規則正しい食生活を再確立する。
4. 1日の食事やおやつの詳しい計画をつくる。
5. 食べ物を貯えないようにする。また買うお金を持たないようにする。
6. 過食する時間を、他の行動で埋めるように計画する。
7. 食事以外は台所から離れ、また食物のある場所を避ける。
8. 体重測定は、1週間に1回とし、それ以上しない。体重を減らしたいなら、食事の量を減らし、食事を抜かない。
9. 不安や抑うつ気分が強く、体型に過敏なときは、物事がうまくいっていないときに感じることが多い。うまくいっていない問題をみつけ、それを解決するようにする。
10. できれば、その問題を誰かに打ち明けることで、苦痛が軽くなる。
11. 目標を定めてそれにチャレンジします。一つの失敗は連続した失敗にはならないので、少しでもうまくいけば日誌に記録していきます。

統合失調やパーソナリティ障害

 うつ病や不安障害ほど普及していませんが、統合失調症やパーソナリティ障害に対しても、認知行動療法が用いられています。

統合失調症

 統合失調症では、多くの場合、薬物療法を中心にした治療が行われていますが、その中で妄想や幻聴に対して、認知行動療法が用いられる場合があります。一般に、統合失調症は「仲間に悪口を言われている」という疑念が生じると、周囲に対して不安や怒りを抱くようになり、仲間を避けたり警戒したりして、孤立していきます。認知行動療法では、妄想や幻聴が悪くなるパターンを理解します。そのうえで、不安などの感情をとらえ、認知と行動を修正していきます。ただし、激しい妄想や幻聴がある場合は、治療者と相談して、まずは向精神薬の使用を考えます。

パーソナリティ障害

 パーソナリティ障害への認知行動療法は、ほかの病気より長期間の治療を要します。それは、幼少期の事件や離別体験、また虐待などが関連しているため、十数年の生育歴をさかのぼって、幼少期からの認知のゆがみを確認しなければならないからです。そのため治療に時間がかかるのです。  パーソナリティ障害は、考え方や行動の偏りによって、生活に支障をきたしている場合が多いです。面接中に泣き通しだったり、喋れなかったりして、治療者との関係を築くのにも時間がかかります。







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