認知行動療法28

統合失調症/Schizophrenia

曝露反応妨害法

七割以上の人に症状の改善が

 認知行動療法の技法にはいろいろありますが、中でも効果が高いのが「曝露反応妨害法」と呼ばれる方法です。曝露反応妨害法は、受けた人の七割以上に症状の改善がみられ、効果の高い治療法です。これは、「曝露法」と「反応妨害法」を一緒にして行われる方法のことです。曝露法とは、強迫症状によって不安や苦痛をもたらすものにあえて立ち向かい、立ち向かうことで不安や苦痛を自然に減らしていく技法です。これをエクスポージャーともいいます。また反応妨害法とは、強迫行動が起こっても、強迫行為をあえてしない方法を訓練します。これを儀式妨害法とも呼んでいます。たとえば、不潔恐怖の人が、汚いと思うものに実際に触ってみて、苦痛や恐怖を小さくしていくことを体感するのが曝露法で、その後、手を洗わないように訓練するのが反応妨害法です。  このように、曝露反応妨害法は、不安状態に自分を曝したまま(曝露)、不安を小さくする行為をしないようにがまんする(反応妨害)ことによって、強迫行為をおこなわなくても不安が軽減していくことを体感する治療法です。不安な状況にあえて向き合うことは、非常に勇気がいることです。そして、強迫行為をがまんすることは、非常に辛いことかもしれませんが、不安階層表を参考にしながら、不安の程度の低いものから始め、時間をかけて向き合っていけば、不安は徐々に軽くなっていくものです。

《曝露反応妨害法をうまく進めるためのポイント》
  • ① 出来ることから始める。
  • ② 家族の協力が不可欠。
  • ③ 治療のルールを決めておく。
  • ④ ある程度の苦痛があるが、徐々に弱まることを知っておく。
回数を重ねることで不安を解消

 曝露によって、苦痛や恐怖の感情に慣れてきて、その後自然と苦痛や恐怖が減っていく過程を「馴化」といいます。馴化には二つの面があって、一つは一回の曝露で起こる苦痛や恐怖の程度の推移です。もう一つは、曝露の数を重ねることで、苦痛や恐怖が弱まっていくということです。  一つ目の、一回の曝露で起こる苦痛や恐怖の程度の推移ですが、たとえば、不潔恐怖症でカバンを地面に置けない人が、実際にカバンを置きます(曝露)。その後、カバンを拭いたりせず、じっと我慢します(反応妨害)。最初は、かえって苦痛や恐怖の度合いが増しますが、時間とともに、苦痛や恐怖が自然に減っていくことが実感できます。曝露する前は、苦痛の度合いが100点だったのが、曝露を始めて20分後には60点にまで下がってきた、ということを確認できるのです。  二つ目は、曝露の回数を重ねた場合ですが、これは「人間の不安は習慣化する」という心理学の考え方に拠るもので、不安に曝され続けると、感覚のマヒから慣れが生じて、不安をあまり強く感じなくなるということです。最初は強い不安を覚えても、回数を重ねれば重ねるほど、不安の度合いが下がってきます。その結果、恐れていた状況に直面しても、不安は自然になくなるものだということが実感できるようになります。不安がなくなれば、強迫行為をする必要もなくなります。ただし、これを習慣化するためには、通院して治療を受けるだけでは回数が少なく、ホームワークとして自宅でも行うことが重要となります。曝露反応妨害法は、苦痛を取り除く治療ではなく、苦痛になれるための治療であることを認識することが、成功するための鍵となるのです。







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