認知行動療法20

統合失調症/Schizophrenia

補助的方法・1〈自律訓練法〉

 自律訓練法は、ドイツの精神科医シュルツが考案したリラックス法で、6つの公式と呼ばれる暗示をかけ、自分でリラックス状態を作り出すものです。この訓練法は、比較的短期間で習得可能なうえ、リラックス効果が高く、心身の安定に役立つことから、精神疾患の治療に用いられるほか、スポーツ選手がメンタルトレーニングに活用したり、会社が社員のメンタルヘルスの一環として取り入れたりするなど、さまざまな現場で広く利用されています。パニック障害では、薬物療法や認知行動療法と併用することで、予期不安や広場恐怖の解消に大きな効果をあげています。  自律訓練法を行うとアルファー(α)波が増え、皮膚温が上昇します。血圧が安定して血行がよくなり、心身の緊張がほぐれます。胃腸の働きも正常に保ちます。

《自律訓練法の効果》
  • ① 精神が安定します。
  • ② 血行が増進されます。
  • ③ 抗ストレス効果があります。
  • ④ 集中力がアップします。
  • ⑤ 疲労が回復します。
  • ⑥ イライラが解消します。
  • ⑦ 消化器・循環器・呼吸器のトラブルを緩和します。
  • ⑧ 自己管理能力がアップします。

 自律訓練法は、初めは集中するのが難しく、すぐに手足の重さや温かさを感じられないかもしれません。うまくいかないからといって諦めないで、少しずつ繰り返し練習していけば、コツがわかってきます。それまで少し時間がかかります。最初始めるときは、専門家の指導を受けるのが望ましいです。場所も初めは集中できるように、静かな場所で行うと良いでしょう。慣れてきたら、いつでもどこでも出来るように、いろいろな場所で訓練します。  では、実際の自律訓練法はどのような手順で行うのでしょうか。まず、始める前に衣類やベルトをゆるめ、時計やアクセサリーなど身につけているものははずして、仰向けに寝るか椅子に座って行います。仰向けに寝る場合は、全身の力を抜いて両足を軽く開き、手や腕は自然に伸ばします。座った場合は、深く腰を掛け、足は床につけて軽く開きます。手は太ももの上に軽く置きます。軽く目を閉じ、ゆっくり複式呼吸をしながら、「気持ちがとても落ち着いている」と暗示をかけます。  次に6つの公式を、第一公式から順に行っていきます。第一公式は重感公式といって「両手両足が重たい」という暗示ですので、利き腕が右手だったら「右手が重たい」「左手が重たい」「右足が重たい」「左足が重たい」という順番に暗示をかけていきます。第一がマスターできたら、次に第二公式の温感公式です。同様に、「右手が温かい」「左手が温かい」「右足が温かい」「左足が温かい」と、ゆっくり心の中で暗示をかけていきます。こうして、第三、第四、第五、第六公式まで行います。自律訓練法では六つの公式の中でも、特に大切なのは「重感公式」と「温感公式」の二つで、この二つだけでもマスターしておけば、十分に効果を上げることができます。1回の訓練は約5分程度で、1日2~3回を毎日行います。

《自律訓練法の6つの公式》
  • ① 第1公式:重感公式「両手両足が重たい」
  • ② 第2公式:温感公式「両手両足が温かい」
  • ③ 第3公式:心臓調整公式「心臓が規則正しく打っている」
  • ④ 第4公式:呼吸調整公式「楽に呼吸している」
  • ⑤ 第5公式:腹部温感公式「お腹が温かい」
  • ⑥ 第6公式:額部冷感公式「額が気持ちよく涼しい」

 注意点としては、自己暗示をかけたとき、意識的に感じようとしないことです。たとえば、「右手が重い」と暗示をかけたとき、意識して重たくしようとしないことです。あくまでも、自然に重たく感じられるようになるのを待ちます。また、食後すぐに行うことや空腹時は避けるようにします。訓練が終わった後は、リラックスしてボーッとなっている状態から心身を目覚めさせる必要がありますので、消去動作を必ずおこないます。消去動作をしないで、いきなり起き上がったりすると、ふらついたり転んだりすることがあって危険です。普段の活動レベルに戻すために、消去動作は必要です。

《消去動作の方法》
  • ① 両手を、5~6回握ったり開いたりする。
  • ② 両ひじを、2~3回上方に曲げたり伸ばしたりする。
  • ③ 大きく背伸びをして、ゆっくり目を開ける。






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