摂食障害 薬物療法

薬物療法

 薬物療法の主な目的には、次の3点があります。

  • 1. 神経性無食欲症に対して、摂食量を増加させ、体重を正常範囲に回復させること。神経性大食症に対しては、大食をなくすこと。
  • 2. 不眠、不安、抑うつ気分、胃重感、消化・吸収機能の低下などの随伴症状に対する対症療法。
  • 3. 治療関係を促進し、精神療法や行動療法への導入を容易にする。

 現在、神経性無食欲症に対して、摂食量を増加させ体重を正常範囲に回復させる薬はありません。しかし、うつ気分で食思不振に陥っている場合、抗うつ薬が使用されたりすることはあります。一方、神経性大食症においては、抗うつ薬が大食と嘔吐の頻度を、短期間ではありますが減少させます。最近では、セロトニンの選択的な再取り込み阻害作用を有するSSRI系のフルオキセチン(国内未発売)が、抑うつ症状の有無にかかわらず、大食と嘔吐の減少をもたらし、摂食行動異常を改善することがわかりました。副作用が少ないことから、欧米で用いられています。日本では、SSRI系であるフルボキサミンが、うつ病と強迫性障害で認可されていますが、摂食障害の治療には認可されていません。しかし、米国では大食症で嘔吐や下剤の乱用が認められない患者さんに有効であるという報告があります。


 いずれにしても、抗うつ薬は大食や嘔吐を減少させ、大食・嘔吐・抑うつ状態という悪循環を一時的に中断させることによって、他の治療法を容易にしたり効果を高める補助をすることで、大食症からの回復に有効な手段となり得ます。したがって、抗うつ薬だけで治る場合はきわめて限定的です。そこで、薬物療法と精神療法の併用が推奨され、認知行動療法と薬物療法を併用した方が、それぞれ単独の治療法よりも有効であることが認められています。また、大食と排出行動や摂食障害に関連する行動異常に対しては、認知行動療法の方が薬物療法よりもより有効であることが分かっています。あくまでも薬物療法は、補助療法としての位置づけです。


 その他、各種薬物が用いられる場合は、精神および身体の随伴症状である不眠、不安、抑うつ気分、強迫症状、胃重感、消化・吸収機能の低下などに対症療法として投与されます。


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